学長インタビューNo.31

 「わが大学」という意識を 



 今回のフォーラム特集テーマ「21世紀の広島大学像マスタープラン」について、学長ご自身の言葉で語っていただけるようお願いし、6月7日午前、学長室で松島、坂越両広報委員がインタビューしました。




「マスタープラン」策定の意図

広報委員:まず、この「マスタープラン」策定の意図、ポイント等についてお話ください。

学長:文字通り、大学間の国際的競争がますます激しくなる二十一世紀に広島大学がいかにすれば生き残ることができるか、という戦略を策定部会で練ってもらったものだ。広島大学の理念五原則(フォーラム三頁参照)を踏まえ、教育研究体制や組織運営等、全体にわたって今後広島大学が取り組むべき改革の方向を明確に提示してもらったと思っている。


具体的改革プラン

広報委員:改革の基本方針や課題につきましては、「フォーラム特集」に譲りまして、学長ご自身の具体的な改革プランをお聞かせください。

学長:学部・大学院教育、入学者選抜方式にかかわって考えているのは、仕事の第一線を引いた六十歳以上の社会人で、はっきりとした学修の意欲と目標をもっている人たちを積極的に受け入れることだ。そのためには、一般的入学試験によらないアドミッション・オフィス方式での選抜も考えられる。また、教育研究体制や組織運営にかかわって言うなら、統合移転が完了した現在でも必ずしも「真の総合大学」とは言えない。人材や施設、資金も含めて、全学的な資源の有効活用、再配分が検討されよう。具体的には校舎施設を共同利用したり、衛星を使った遠隔授業で東広島、霞、東千田キャンパスを教育ネット化したい。

広報委員:大学情報の公開や発信についてはいかがでしょうか。

学長:外から大学が見えない、分からない、という声もあり、これから特に重要なことだと考えている。例えば、全学内の研究者人材や研究業績を集約して把握しておき、学外からのアクセスがあったとき、そこが窓口となって、学内と学外の情報需給を媒介するセンターが必要ではないか。これも、「真の総合大学、一つの大学」を実現する一歩だと思う。マスタープランには書いてないが、広島大学シンクタンク機構を大学教育研究センター内に設置し、外部への窓口にしたい。現在、工学系は地域共同研究センターが窓口になっており、また、地域の経済計画についての交流は、今回十年の時限で設立された経済学部附属地域経済システム研究センターが窓口になってくれるわけである。これら三つの窓口を設け、広島大学が外から見え、そして、ここに聞けば広島大学から外へ出前ができるというシンクタンクの機能を持たせたいのである。


実施に向けて

広報委員:おわりに、このマスタープランの実現に向けて、学長の決意をお聞かせください。

学長:このプランが目指している大学像のハード面では、これまでかなり努力してきたつもりだし、これからの見通しも立っている。今、大事なことはソフト面、特に教官の意識改革だと思う。教官全員に「わが大学」という意識を持ってほしい。そのために考えていることは、四十歳代の教官に自由にマスタープランについて語ってもらうシンポジウムだ。今回のマスタープランは、大変によくできたものだが、これからの十年を視野においている。これをさらに、二十年、三十年後の広島大学のあるべき姿の議論へ発展させていってほしい。



坂越広報委員

松島広報委員

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