その骨子とアクションプランの検討 

文・生 和 秀 敏   
(Seiwa, Hidetoshi)
  評議会マスタープラン部会
  座長・副学長

 本年の四月以降、評議会のもとに新たに設置されたマスタープラン部会では、昨年度答申されたマスタープランの精査を行い、改革の方向をより明確にし、可能ならば達成目標の年次計画を示し、評議会の他の部会および関連する全学委員会と協力しながら、具体的なアクションプランの策定を急ぎたいと考えている。本稿では、まず、マスタープラン策定の目的と背景を述べる。次に、マスタープランの骨子を抜き出し、改めて理解を求めるとともに、現在のマスタープラン部会が審議している内容も含め、改革の方向について説明することにしたい。なお、昨年度の部局長連絡会議の中に設置された二十一世紀の広島大学像マスタープラン策定部会が学長に答申した全文は、部局長会議で公表され、すでに多くの部局において配布されていると承知しているが、広報委員会のホームページに掲載しているので参考にしていただきたい。

マスタープラン策定の目的

1 理念に沿った本学の将来像を提示する
 森戸辰男初代学長は、五十年前の開学式で、「自由で平和な一つの大学」をめざす決意を述べ、翌年の創立記念日において、(1)広島大学を中国・四国の中心大学とする、(2)広島大学を地域性のある大学とする、(3)広島大学を国際性のある大学とする、という三つの構想を示した。以来、旧帝国大学に匹敵する本格的な総合大学として、国内はもとより、世界的な水準の教育・研究遂行の拠点となるべく、様々な整備が行われてきた。平成七年、二十一世紀を迎えるに当たって本学は、建学の精神を継承発展させるため、新たな理念を示す五原則、(1)平和を希求する精神、(2)新たな知の創造、(3)豊かな人間性を培う教育、(4)地域社会・国際社会との共存、(5)絶えざる自己変革、を決定した。
 この理念に沿った本学の将来像を提示することが求められている。

2 今後の改革・改善のための基本的な枠組みを提示する
 平成十年十月、原田康夫学長は、臨時部局長連絡会議の席上で、「本学は来年、建学五十周年を迎えることになるが、新しい世紀における更なる飛躍を確かなものとするためには、構成員の一人一人が、新たな理念五原則を共有するとともに、この理念を実現するための具体的な将来計画を策定し、その実現に向けて最大限の努力と精進を重ねることが何よりも重要である」と述べ、以下の三つを将来計画策定の基本に置くように指示した。
(1)学部教育と大学院教育との相対的な役割の分化を図りながら、新しい時代に対応した大学院の整備・充実と、教養的教育の更なる充実を含む学部教育の抜本的改革を目指す。
(2)真の総合大学を目指して、学部・研究科間の相互の交流推進による教育研究の活性化および専門深化を図るとともに、新しい学問領域を開拓・発展させる。
(3)開かれた大学を実現するため、大学情報の公開を推進し、地域社会・国際社会とのネットワークを構築して、知的情報の創造と発信機能を充実させる。

 この基本的な枠組みのもとで、改革・改善を行うことが求められている。

3 新しい大学創造の方向を提示する
 このたび国立大学協会では、「知的創造の拠点・国立大学」というパンフレットを作成し、多分野で活躍できる優れた人材を養成し、社会に貢献するため、二十一世紀の国立大学を特徴づけるキーワードとして、(1)幅広い人材養成、(2)高度な学部・大学院教育、(3)多様な研究分野、(4)大学独自の研究施設、(5)民間との連携、(6)社会人の受け入れ、(7)地域への開放、(8)進む国際化をあげている。さらに、「もともと持っている特色を生かし創造的で魅力ある大学を創れ」「国際学術協力で卓越したイニシャティブをとれ」「魅力的な教育と研究の実践を行え」「新たなる社会と大学の関わりが創造的人材を育てろ」といった識者の意見を掲載している。
 また、大学審議会では、各大学が自律性を高め、個性が輝く大学として発展することを期待して、(1)課題探求能力の育成による教育研究の質の向上、(2)教育研究システムの柔構造化による大学の自律性の確保、(3)責任ある意思決定と実行が可能となる組織運営体制の整備、(4)多元的な評価システムの確立を基礎においた大学の個性化と教育研究の不断の改善という、大学改革のための四つの基本理念を提言している。


マスタープラン策定の背景

  1 自主改革路線を継承する 
 大学設置基準の大綱化が決まる以前より、本学は自主的な大学改革に着手し、一九七二年、大学教育の本格的な研究機関として大学教育研究センターを設立、一九七四年、全国に先駆けて教養部を改組して総合科学部を創設するなど、新しい大学創造に向けた努力を行ってきた。一九八七年、沖原豊学長は、当時の将来構想検討委員会(通称、二十一世紀委員会)に対して、二十一世紀に向けての広島大学の新しい構想を全学的立場から検討し、本学の一層の発展を期すために、(1)社会の進展に伴う本学の教育・研究体制のあり方、(2)地域に開かれた大学としての本学のあり方、(3)大学の国際化を目指す本学のあり方、(4)その他、二十一世紀に向けての本学のあり方について諮問した。
 一九八九年、将来構想検討委員会は、二十一世紀に向けて広島大学が進むべき方向として、(1)総合性・創造性・批判性を重視した大学づくり、(2)研究機能と教育機能の新しい関係の確立を志向する大学づくり、(3)地域社会・国際社会に開かれた大学づくり、(4)時代・社会の変化に対応した大学づくり、(5)大学の自治と社会的責任を重視した大学づくりを提言し、具体的な改革構想を学内に公表し、自己点検・評価委員会と大学計画委員会の設置を答申した。この改革構想の多くは、今なお、その妥当性と鮮やかさを、いささかも失ってはいない。

2 広島大学白書および大学計画委員会からの提案を尊重する
 本学の自己点検・評価委員会は、広島大学白書1・2(一九九二・一九九五)および広島大学総覧「資料で見る広島大学」(一九九六・一九九八)を編集し、当面の課題として、(1)学部教育の整備、(2)大学院の教育研究の整備充実、(3)管理運営機構の整備、(4)自己点検・評価体制の整備、(5)キャンパスの整備、(6)情報通信ネットワークの整備、(7)国際化への対応、(8)社会との連携(生涯学習社会への対応)をあげている。
 一九九一年の大学設置基準の大綱化をうけて、田中隆莊学長が提案し、評議会において承認した学部教育についての三原則を具体化するため、大学計画委員会は、自己点検・評価委員会が取り上げた課題の中から、具体的改革の第一弾として学部教育の整備を取り上げ、教養的教育の充実を含む学部教育の改革に着手することを提起した。これを受けて、教養的教育検討委員会が設置され、一九九五年、「学部教育改革について\基本方針\」が評議会で承認され、一九九六年、それにもとづく全学体制での「教養的教育改革実施要綱」が制定された。引き続き大学計画委員会では、国立大学を独立行政法人化する動きに対して独自の調査研究を行い、いかなる事態が生じても本学が揺るぎない地位を確保するためには、適切な評価システムの開発とその利活用によって教育研究の活性化を促すことが不可欠である旨の意見を学長に答申している。

3 国立大学をめぐる社会的状況の変化に対応できる体制を整える
 大学設置基準の大綱化(一九九一)、大学審議会の答申(一九九八)および行政改革会議最終報告(一九九七)、さらには中央省庁等改革基本法(一九九九)や情報公開法(一九九九)の制定など、国立大学をめぐる状況は大きく変化してきている。また、学校教育法・国立学校設置法・教育公務員特例法といった大学関連三法の一部改正が今年度行われ、来年四月一日から施行される。
 夢を語ることのできた将来構想検討委員会の時代からわずか十年、大学は厳しい現実の中で、生き残りを賭けた抜本的な改革を迫られてきている。とりわけ、国立大学の独立行政法人化への動きや国家公務員の二十五%定員削減計画は、大学組織の基本的あり方や大学の存否に関わる問題であり、今後の改革の成否いかんが、本学の将来を決定するといっても過言ではない。
 本学が、社会・経済の著しい変化に適応しつつ、国際社会で活躍できる優れた人材の確保や未来を切り開く新しい知の創造など、来るべき二十一世紀において期待される役割を十分果たし、国際的にも評価されるためには、大学審議会答申の提言や行政改革会議最終報告なども踏まえ、意識改革を含む抜本的な改革を不断に行い、教育研究の質の飛躍的向上を図ることが不可欠である。


マスタープランの骨子

 統合移転も完了し、残された課題はあるものの、総合大学としてのハード面での整備の大半は終わった。これからは、広島大学の理念の実現と競争的環境にうち勝つ個性豊かな大学の創造に向けて、教育活動と研究活動の飛躍的な発展を目指した内容面での改善と、それを支える意識改革を行わなければならない。マスタープランは、国立大学を取り囲む社会情勢の厳しさを考えるとき、およそ今後五〜十年を展望し、本学としての将来を確かなものとするための基本的な方向を定めるものであり、改革・改善のためのアクションプランは、この方向に従って策定し、可能なものから速やかに実施に移す必要がある。

1 学部教育改革の方向
 十八歳人口の減少と生涯学習化が進む中にあって、これからの学部教育にあっては、多様化する学生や社会のニーズに対応できる柔軟な教育システムの構築が求められている。そのためには、入試制度の抜本的な改革と、これまでの学部・学科・専攻などを教育責任単位とした教育体制の見直しを行い、全学の協力の下で作成する多様な教育プログラムを通じて教育を行うという新しい方向を指向する必要がある。
(1) 学生の多様化に対応する新たな教育目標の設定
(2) 学部・学科制度の見直しと新しい教育体制の構築
(3) コース制の導入とプログラムによる教育への移行
(4) 学内流動化の推進と入試制度の抜本的改善
(5) 課外活動などの自主的活動の重視
〈主な審議事項〉
◇ 学部教育と呼ばれてきた学士課程教育では、基礎的・教養的教育を重視した多様な教育プログラムを編成し、学生や社会のニーズに合致した柔軟な教育体制を構築する。 ◇ 意欲と関心に支えられた学習が行えるよう、学生の流動化を推進すると同時に、可能な限りカリキュラムの共通化を推進する。
◇ 個別学力試験における細分割入試制度の解消や大学入試センター試験の資格試験的利用、さらには、アドミッション・オフィスによる試験制度の導入など、現行の入学者選抜方法の抜本的な改革を行う。
◇ 進路等の個別相談体制を強化する。
◇ シラバスの全学共通化と学生のための統一履修ガイドブックを作成する。
◇ 自学自習環境の整備と図書館情報の電子化を推進する。
◇ 自主的活動である課外活動を重視し、学生主催イベントの活性化を支援する。

2 大学院の整備方針
   学問の高度化と複合化に対応するため、既存の大学院の整備充実を図るとともに、時代を切り開く新しい学問を創出するため、新構想の大学院を設置し、大学院生の将来の進路を確実に保証できる質の高い教育体制の構築を目指す。そのためには、基盤的、インターファカルティ的、先端的な各研究科相互の役割を明確にし、協議と調整を行いながら、共に発展できる条件を整えることが重要である。
(1) 教育研究の分離と教官所属組織の再編成
(2) 設置目的の違いによる多様性を生かした大学院の整備充実
(3) 新しいタイプの大学院制度の導入
(4) 社会人の積極的な受け入れと修業年限の弾力化

〈主な審議事項〉
◇ 大学院教育では、設置形態の多様性や教育目標の違いを生かしながら、学問の高度化や高度専門職業人養成に対応できる教育研究体制を構築する。
◇ 既設研究科の整備、新構想の独立研究科やプロジェクト型大学院の新設など、大学院の更なる充実に努め、大学院学生定員の相対的な比率を高める。
◇ 研究科横断型の研究プロジェクトの活性化と財政支援を行う。
◇ 国際化に対応するため英語による授業演習の推進と支援体制を整える。
◇ 生涯学習型大学院の整備を行う。
◇ 高度専門職業人養成のための専門学校(ビジネススクール等)の付設を検討する。
◇ ポスト・ドクトラル・フェローシップの導入を検討する。
◇ 独立研究科における協力講座のあり方を再検討する。

3 研究活動の活性化 
 大学にあっては、研究活動の成果が教育活動に生かされることが重要であり、このことが他の研究機関や高等学校以下の教育機関と本質的に異なる点である。その意味で、研究活動の活性化は大学の活性化に直結しており、学問の高度化に対応できる研究体制を整備し、それを大学院を中心とした教育活動へ生かすことが強く求められている。
(1) グローバルな研究動向を反映した学内研究体制の重点的・個性的整備
(2) 研究成果の公表と適切な評価システムの構築
(3) 人事交流の推進と先端的研究分野における任期制の活用
(4) 大学院整備と連動した学内共同教育研究施設の整備充実

〈主な審議事項〉
◇ 現行の学部・学科制度の抜本的な見直しを行い、教官定員の大学院への振り替えや予想される教官定員の大幅削減に対応するため、学部・学科の枠を越えたプログラム制などの新しい教育体制を検討する。
◇ 教員組織については、これまでのように学部に帰属させるか、学部から切り離し大学院を中心に再編成するか、あるいは、教育と研究を分離し、いかなる教育体制にも柔軟に対応できる新しい教員組織を編成するか、早急に検討する。
◇ 既設の共同利用の教育研究施設については、統廃合も含めた見直しを行い、真に全学共用の施設として機能するように務めると共に、本学の特徴を生かした新しい研究所・施設等の設置を検討する。
◇ 総合博物館の設立と教育研究活動への利用推進のための電脳化計画の推進、および、それを支える情報メディア学研究科(仮称)の設置を検討する。

4 組織運営方法の改善 
 大学設置基準の大綱化以降、好むと好まざるとに関わらず、大学は自らの意思で、自らの将来を切り開く責任を負わされることになった。大学全体の意思決定をどのように行うのかといった内部的な課題に加え、公的高等教育機関としての意思決定には構成員だけの参加で十分なのだろうかなど、旧来の教授会自治の論理だけでは、対応できない事態が到来していることも理解しなければならない。自律的な活動を支える計画・実行・評価の各機能を充実させながら、開かれた大学としての管理運営体制を確立することが今求められている。
(1) 評議会の活性化のための新しい制度の導入
(2) 学長のリーダーシップ機能を高めるための執行機関の充実
(3) 全学委員会の権限と責任の強化および審議スケジュールの公表
(4) 迅速な議事録の公開など構成員の意思決定への参加を促すための工夫
(5) 協議会など学外からの意見聴取のための新たな制度の導入

〈主な審議事項〉
◇ 大学全体としての意思決定がスムーズに行えるよう、全学委員会の権限および評議会の機能を強化し、あわせて、学長を中心とした執行機関が十分に機能するよう調査・企画・広報部門の充実を図る。
◇ 開かれた大学として、ホームページを充実して大学情報の積極的な開示を行うと共に、予想される情報公開請求に迅速に対応できるよう学内情報の一元的管理と主要情報のデータ・ベース化を推進する。
◇ 調査室・広報室を統合した学長室の設置を検討する。
◇ 現在の懇話会を改組し、大学審議会で提案されている協議会の新設を検討する。
◇ 本学としての評価システムを構築し、自己点検・評価委員会を改組し、評価委員会(教育評価委員会と研究評価委員会を内包)を設置する。
◇ 広報体制の強化と大学情報の収集発信の拠点を大学教育研究センター内に設置する。

5 キャンパスの整備計画
 東広島キャンパスは、本学のメインキャンパスとして整備すると共に、アクセスの改善、学生の生活環境の充実を図ることが急務である。東千田キャンパスは、生涯学習の拠点として整備すると共に、地域協力や国際交流拠点として整備充実を図る必要がある。また、霞キャンパスは、先端医療機関と福祉施設とを兼ね備えた総合メディカル・センターとして充実を図ることが望ましい。さらに、三キャンパス間の緊密な連携を図るため、相互のアクセスの改善と情報環境の整備を急ぐ必要がある。
(1) マルチメディア時代に対応する情報環境の整備充実
(2) 三キャンパスの特徴を生かした整備計画の策定
(3) 環境と調和した効率的な施設利用のためのルールづくり
(4) 多目的ホールなど文化的諸施設の計画的整備
(5) キャンパス・アクセスの改善

〈主な審議事項〉
◇ 東広島・霞・東千田それぞれの特徴を生かしたキャンパス整備プランを早急に策定すると共に、三キャンパス間に緊密な情報交換を可能にする情報環境基盤の整備を行う。
◇ 東広島キャンパスにおける交通問題の解決のための抜本的な方策を検討する。
◇ 学生のための文化施設の整備を行うと共に、セミナーハウスの開設(海と山)を検討する。
◇ 霞キャンパスは、総合メディカル・センターとして整備を行う。
◇ 東千田キャンパスは、現職者の再教育を含む生涯学習センターとして整備する。
◇ 多目的ホールとしての五十周年記念会館(仮称)の建設を行う。

6 地域協力・国際化の推進
   ボーダーレスの時代を迎え、学部間はもとより、大学間の交流が今後ますます広がることが予想される。やがて、大学は、地域や社会や世界と切り離されたキャンパス内の閉じられた空間だけでは存在できなくなる可能性がある。遠隔教育体制の整備などに務め、情報の受発信機能を飛躍的に高め、そのことを通じて、地域や社会や世界の期待に応える必要がある。

(1) 地域交流のための交流ネットワークや情報通信ネットワークの整備
(2) 大学間交流締結校の拡大と交流推進のための施設整備
(3) 地域共同研究センター、教育開発国際協力研究センター、留学生センター等、学外に開かれた施設の充実
(4) 国際化や大学の地域開放を推進するための遠隔教育システムの構築と、それを支える研究体制の整備
(5) 大学情報受発信の拠点を大学教育研究センターに設置

〈主な審議事項〉
◇ 地域社会との交流と国際交流の更なる推進を図るため、関連施設の整備や事業の充実を図ると共に、大学がコミュニティーのメンバーであることを自覚しつつ、グローバル・スタンダードに適合した教育研究活動を積極的に推進する。
◇ ゲストハウスを新設する。
◇ 国際化支援ファンドを設立する。
◇ 附属学校の将来整備計画の策定を急ぐ。
◇ 国際化や地域開放を支える遠隔教育システムを構築する。

 以上が、マスタープランの骨子と、アクションプラン策定に向けてマスタープラン部会で検討している主な審議事項である。審議事項の中には、まだ十分議論されていないものも少なくなく、部会として合意を得ていないものも含まれている。また、諸般の状況から考えて実現が困難な事項も含まれている。今後、事項を重要度・緊急度によって再整理を行い、さらに具体的な検討を加えていきたい。
 なお、本学の将来を考える上で避けて通れない重要事項である人事制度および財政のあり方については、評議会の人事部会および財政部会に検討を付託し、事務組織の改組については、事務局の部長および各学部・研究科の事務長によって構成されている事務機構改革検討委員会で検討が行われている。

A 今後の人事および財政のあり方
─評議会の人事部会および財政部会へ審議を付託している事項─

 厳しい行財政事情の中にあって、教育研究を継続発展させるためには、積極的な人事交流と活性化につながる人事制度の導入、財政基盤の安定化のための努力、効率的・効果的な予算配分や施設利用などを検討する必要がある。そのためには、従来の講座中心の組織運営体制を改め、ヒト・モノ・カネは大学全体の資産であり、広く大学全体の発展のために利活用されるべきであるという構成員の意識改革が不可欠である。

 人事部会付託事項
(1) 任期制の導入について
(2) 教員の採用・昇進基準について
(3) 教育専任および研究専任教員の採用について
(4) 外国人教員の任用について
(5) 非常勤講師の任用および範囲について
 財政部会付託事項
(1) 財政基盤を安定化するための方策について
(2) 外部資金導入のための方策について
(3) 校費配分方法の見直し
(4) 基礎研究や文科系諸学の研究推進を保証する資金運用について

B 事務体制のあり方
─事務機構改革検討委員会に審議を依頼している事項─

 文部行政の円滑な執行という観点だけではなく、教育研究の円滑な支援、とりわけ学生の抱えている問題解決援助という観点に立った事務機構の整備が求められている。大幅な事務組織の改組、慣行的事務内容の抜本的見直し、窓口事務の充実、執務能力向上のための研修体制の充実など、早急に手がけるべき課題は多い。


 

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