学長インタビューNo.32

 ともに歩んだ50年 



 夏休みに入ったとはいえ、多忙なスケジュールをこなしている学長を、8月2日、広報委員会から西尾、成定の両名が学長室に訪ねてインタビューした。


桜植樹一一一一本のわけ

成定:先ほど事務の方から伺いましたが、先生は新制広島大学とともに歩んで来られたとのことですね。

学長:私は、国立移管後の医学部及び大学院第一回の卒業で、新制第一号の医学博士、新制卒で最初の医学部長、さらに新制卒最初の学長なんだよ。「東広島キャンパスに一一一一本の桜を植えよう」と提案したのはそのためだ。(注:この目標は、昨年度達成されました。『広大フォーラム』今期第一号参照。)私は文字通り、広島大学に育ててもらった。だから、人一倍熱心に広大の発展のために尽力しているわけだ。努力の甲斐があって、学長就任後、多くの建物が建ったし、現在も附属病院はじめ多くの建物が建設中だ。


手帳にはオペラの予定

西尾:次に、五十周年記念事業について。『広大フォーラム』第二号に、五十周年記念会館建設(仮称)について副学長の牟田先生に記事を書いていただきましたが、記念会館について一言お願いします。

学長:現在のところ、大学で演奏会をやろうにも、映画を上映しようにも、適当な場所がない。国際会議やシンポジウムができる立派な会議場もほしい。文化を発信し、享受する場としての記念会館を一日も早く作りたい。会館ができれば、国の予算で、宿泊施設やファカルティー・クラブなどを作ってもらえることになっている。このため、同窓生及び皆さんで十億円を集めてもらい、これに加え私個人で五億円を集め、是非とも立派な建物にしたい。そのため、毎日のように奔走して、寄付を募っているところだ。おかげさまで三億円程度は既に目途がついた。自分は医者として、日頃からお付き合いを大切にしていることもあって、各方面から御理解をいただき支援していただいている。現職のみなさんも募金にぜひ協力していただきたい。

成定:五十周年記念公演のオペラ「蝶々夫人」の練習はいかがですか?
   学長はピンカートン役をなさるということですが。


学長:もう完璧だよ。ちょっと聞いてみるかね。(ここで録音を聞かせていただく。)私は、医者であり、学長であり、歌手でもあるんだ。手帳にはオペラ練習の予定がたくさん書き込んである。(ここで手帳を見せていただく。)


「開かれた大学」のためのインフラ作り

西尾:五十周年を機に、開かれた大学を目指す、あるいは地域との連携を強めることも重要だと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

学長:このたび、地元のケーブルTV局と提携して、広大の情報を地域に提供するというプロジェクトを立ち上げることになった。学生諸君が暮らしているアパートやマンションにケーブルを接続して、さまざまな情報をTVを通じて流したいと考えている。また、シンクタンクとしての機能を持った大学教育研究センター、地域共同研究センター、さらに新しく発足した地域経済システム研究センターなどを通じて、大学の知的資源を活用して地元に貢献したいと考えている。体制はほぼ整っている。あとは実行あるのみだ。


インタビューを終えて
 紙幅の都合で掲載できなかったが、学長の研究活動や学長の恩師である塚本寛名誉教授との心暖まる交流など興味深い話をいろいろ伺えて楽しいひとときであった。

西尾委員長

成定副委員長

広大フォーラム31期3号 目次に戻る