病床に思う
滝 本 誠 海

 


 私は七月七日に肝臓がんを切除し、現在入院中ですが、これからの人生は、すべて「生かされている」毎日であります。
 病床でくり返し読んでいるのは、難病の子供の詩です。
 十五歳で死を前にして書いた、としなお君の詩を皆さまもお味わいください。

 よろこびを感じたら
 ほかの人にもわけてあげよう
 人生なんて短いから
 自分なんて点のようだから
 一人でも多くよろこばしてあげよう
 わけてあげよう
 ちりのような、空気の分子のような
 小さなよろこびを
 一人ひとりにわけてあげよう
 ああ早くしないと
 人生がつきてしまう
 今感じているよろこびを
 むだにできない



プロフィール        
(たきもと・じょうかい)
☆一九三四年 広島県に生まれる
☆一九五四年 広島大学教育学部より龍谷大学卒業
 三十八年間、小学校障害児教育にたづさわる
☆一九七一年 広島大学特別専攻科修了
☆一九九四年 退職 現在南林寺住職
☆障害児教育功労賞、NHK障害福祉賞等を受ける
☆著書には「この子らと手を合わせて」(樹心社)他六冊がある




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