五十年史編集室だより(7) 


 学内刊行物の収集状況(一)教務関係 


寄贈を受けた学内刊行物の特徴
 今年四月、当編集室では各部局、学内共同利用施設等に対して、既刊の学内刊行物の寄贈と今後の継続的な寄贈とを依頼する文書を提出しました。その結果、各方面より刊行物の寄贈を受けることができました。今回寄贈された資料にはある特徴があります。それは資料が過去五年間のものに集中しているということです。この原因はいくつかあります。原本を担当部署で保存しているが一部ずつしか所蔵していないため提供できない。担当部署での保存が不十分で欠本が多い、もしくは所蔵していない。統合移転の影響で未整理である、などです。

学内刊行物の種類
 広島大学の刊行した資料にはざまざまな種類のものがあります。学報、総覧(旧一覧)、要覧、学部案内、職員録などの冊子類はもちろん、授業の時間割表、電話番号一覧表などの非冊子形態のものもあわせれば、その数は膨大です。広報刊行物は確認しているだけでも大学全体で六十四種類が出され、各委員会が作成する自己点検評価報告書等が七十種以上、各部局等で出される紀要等が八十六種類あります。大学史を編纂する上では、これらの学内刊行物はすべて収集することが理想的です。しかし刊行物のなかには、廃棄されやすい性質のものがあり、全ての収集は実際には難しいでしょう。

散逸しやすい刊行物
 廃棄されやすい刊行物のひとつに、教務関係の資料があります。特に前述の時間割表などは、使用する立場からみれば聴講手続きが終わればその使命は終わります。シラバス(講義概要等)も同様の扱いでしょう。刊行物を受け取った人の多くは、数年内に廃棄したのではないでしょうか。このような資料は公的機関が意識的に収集に務めなければ保存されにくいものです。欧米の大学では資料の散逸を防ぐために、その役割をアーカイブズが果たしていると聞きます。

教務関係刊行資料の収集状況
 現在編集室で所蔵する資料については表に示したとおりです。色づけされた項目は大学院・専攻科等の刊行物です。編集室所蔵欄の「S」は昭和、「H」は平成の各元号を表し、「〜」は連続した年度を所蔵していることを表します。なお、編集室での所蔵がないため、歯学部(昭和四十年設置)、先端物質科学研究科(平成十年設置)、歯学研究科(昭和四十七年設置)、地域研究研究科(昭和五十三年設置、平成元年度廃止)、法学研究科(昭和四十七年設置、同六十三年度廃止)、経済学研究科(昭和四十二年設置、同六十三年度廃止)、環境科学研究科(昭和五十三年設置、同六十一年度廃止)については項目を設けていません。
 収集状況の内訳をみると、教養部、総合科学部の学生便覧がほぼ完全にそろっているのが特徴的で、一般教育の手引き、講義概要なども残っています。大学の教育活動を知る貴重な資料といえます。
 この機会にお手元の教務関係刊行資料を照会の上、御寄贈いただければ幸いです。また、当編集室ではこれに限らず様々な資料に関する情報をお待ちしております。




 大学氏の散歩道 
 山中高等女学校と広島大学 
 広島大学とその前身校に関する記念碑は、学内のみならず、県内各地に設けられている。広島市中区千田町の千田第一公園内に設置されている「山中高等女學校址」の碑もその一つである。
 山中高等女学校の歴史は古く、明治20年(1887)に山中正雄氏によって創設された広島高等女学校がその始まりである。爾来、広島県下の女子教育に大きく貢献してきたが、三代目理事長山中トシ氏によって、「山中」の名を存続させることを条件に昭和19年に国に寄付された。これをもとに設置されたのが、教育学部の前身校の一つである広島女子高等師範学校であり、山中高等女学校は同附属山中高等女学校となった。
 戦後の教育改革により、昭和26年3月31日をもって、「山中高等女学校」は65年にわたる歴史に幕を閉じた。昭和32年に旧山中高女跡地に建設された女子寮は、「山中寮」と命名されたが、それも統合移転にともない平成8年(1996)に廃止された。
 現在、筆者はバス停「山中池」からバスに乗って帰路に就く。時には「山中高等女学校」に思いを馳せながら・・・。
(菅 真城)

 記念碑は、山中高等女学校の同窓会である橘香会によって建立された。写真は、除幕式の際に配布された記念品ポストカード。なお、山中高等女学校の創立が1880.12とあるのは1887.12の誤り。
 
50年史編集室ホームページ http://www.ipc.hiroshima-u.ac.jp/~nenshi50/

業務日誌抄録

6・22 野口賢三氏(尚志会員)より所蔵資料四点を受贈。
6・23 第十七回編集会議。
6・25 留学生スピーチコンテストを取材し、写真撮影。
6・27 ゆかたまつり写真撮影。
6・28 第十八回編集会議。
7・1 第六回研究会。
 報告…鳴海元名誉教授(理学部)
 「広島大学における情報図書館のあゆみ」
7・2 渡辺光氏(尚志会員)より資料提供の連絡を受ける。
7・5 第十九回編集会議。
7・6 濡木輝一氏(新制博士第一号者)を取材し、証書等を写真撮影。
7・9 歯学部において写真撮影。
7・12 第二十回編集会議。
7・13 学位記授与式写真撮影。
7・19 留学生センターおよび教育学部の講義風景を写真撮影。
7・20 第二十一回編集会議。
7・21 石田寛名誉教授(文学部)より資料に関する問合せを受ける。
7・22 総合科学部の講義風景を取材し、写真撮影。
7・27 第二十二回編集会議。
 留学生センター講義風景・理学部所蔵学術資料を写真撮影。
7・30 理学部にて写真撮影。
8・2 第二十三回編集会議。
 学部別公開ガイダンス写真撮影。
8・3 附属幼稚園・学内建物・資料・学生アパート等の写真撮影。
8・4 霞・東千田両キャンパス及びキャンパス近辺の風景写真撮影。
 道重哲男氏(広島県立文書館長)の証書を写真撮影。
8・9 第二十四回編集会議。
8・17 生物生産学部庶務係より所蔵資料四点を借用及び一点を受贈。
8・18 渡辺光氏(尚志会員)より所蔵資料三点を受贈。
8・19 広島市役所、NHK広島放送局へ資料調査。
8・20 第二十五回編集会議。
8・25 文学部・理学部建物及び学術資料の写真撮影。
8・30 牟田副学長と面談。
8・31 第二十六回編集会議。
9・1 中央図書館より編集室隣室の一部を一時借用。
9・2 学生部旧蔵資料一点を受贈。
9・3 第二十七回編集会議。
9・7 第二十八回編集会議。
 在川龍記氏より資料受贈。総務課総務係旧蔵資料二十七点を移管。
9・10 西村清巳教授(教育学部)所蔵の学生部旧蔵資料四十一点を受贈。
9・17 第二十九回編集会議。
10・7 第三十回編集会議。
11・5 『広島大学の50年』刊行。



〈連絡先〉50年史編集室 電話 0824(24)6050 FAX 0824(24)6049
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