自著を語る
『Current Topics of Thoracic Surgery』
-Memorial Proceedings of
The 41th Annual Meeting of
Japanese Society of Thoracic Surgery
(Kansai Chapter)-1998-Hiroshima
著者/松浦雄一郎,末田泰二郎編著
(B5版,186ページ)非売品
1999年/いくやくユーロアメリカ・東京出版
現在の外科は、一般腹部外科、胸部心臓血管外科、小児外科の三本柱を守備範囲としているが、それぞれが専門性を有しており、診療科としてもそれぞれ標榜し、診療に当たっている。それに伴い、各々の分野が学会を開催しているが、中でも胸部心臓血管外科を主題とする日本胸部外科学会は、心臓血管外科、呼吸器外科、食道外科と三本の柱をたて活発な活動を行っているものの一つである。
平成十年六月十八日から十九日に広島大学医学部外科学第一講座が主管して、日本胸部外科学会関西地方会第四十一回学術集会を開催した。一般学術発表に加え、著名な研究者を国内をはじめ米国、フランス、ロシアから招待し講演をしていただいたが、それぞれ内容が非常に素晴らしいものであったので、これらを集め、紙上国際シンポジウムの形で『Current Topics of Thoracic Surgery』と題する冊子を発刊することとした。
まず筆者が、President's Addressとして、抗癌剤の動脈注入治療から人工心臓など、幅広い広島大学での胸部外科領域における医療機器、人工臓器研究の回顧と展望を、次に米国のDB. Doty先生に、弁膜症治療への近年の人工弁に対しての生体弁の有用性について、論じていただいた。
教室の末田泰二郎助教授には、近年注目されている不整脈・心房細動の手術について、大和成和病院の南渕昭宏先生と米国のT. Yokoyama先生には、日米から、いわゆる低侵襲冠動脈バイパス手術について、論じていただいている。
ロシアのエリツィンさんの手術に加わられたRS. Akchurin先生には、冠動脈バイパス術における微小外科手術の応用についての経験をまとめていただいている。
フランスのTG.Mesana教授には、現在最も問題とされている心臓筋肉疾患に対する、躯幹筋肉による心臓筋肉補強治療について論じていただいた。
聖マリアンナ医科大学長田博昭教授には、肺癌医療における経済問題を、北海道大学医学部森川利昭先生には、最近発展しつつある胸腔鏡による胸部手術について、さらに、広島大学原爆放射能医学研究所峠哲哉教授に、現在もなお外科医にとっての難題である進行性食道癌に対する戦略について、論じていただいている。
日常の臨床、研究、教育にご多忙の先生方、講演に重ねてのご執筆を快くお引き受けいただき、ご投稿賜りましたことをここで重ねて御礼申し上げます。
この小冊子を手にされた方に、これからの医療に多少なりともお役に立てば、編著者の望外の喜びであります。
プロフィール
(まつうら・ゆういちろう)
☆一九三六年 広島県呉市生まれ。
☆広島大学医学部卒業の後、米国南カロライナ州立医科大学胸部外科留学。県立広島病院第二外科副部長、第三外科部長を経て広島大学医学部第一外科教授。
広大フォーラム31期4号
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