自著を語る
『インターパーソナル・コミュニケーション
―対人コミュニケーションの心理学―』
著者/深田博己
(A5判,249ページ)2,500円(本体)
1998年/北大路書房
社会心理学とコミュニケーション論の交差路
人間社会でのコミュニケーションの原点は、個人と個人の間で交わされるコミュニケーションにある。二者間のコミュニケーションを基本とする個人間コミュニケーションは、対人コミュニケーション(インターパーソナル・コミュニケーション)と呼ばれる。
対人コミュニケーションは、我々が周囲の人々と付き合い、社会生活を営む上で欠くことのできない重要な対人行動である。私の専攻する社会心理学の分野では、さまざまな下位分野で対人コミュニケーションに関する研究成果が相互関連のないままに蓄積されてきた。そこで、社会心理学の分野でこれまでにバラバラに報告されてきた対人コミュニケーション関係の知見を整理してみようと思い立ったわけである。
対人行動としての対人コミュニケーション
私は、対人コミュニケーションを、対人心理学(対人社会心理学)における言語記号や非言語記号を用いる対人行動として位置づけ、「コミュニケーションの社会心理学」あるいは「社会心理学的コミュニケーション論」の標準的テキストづくりを目指した。
本書では、対人コミュニケーションに関する基礎的知識について述べたあと、自己を知らせるコミュニケーション(自己開示)、自己を演出するコミュニケーション(自己呈示)、他者の心を動かすコミュニケーション(説得)、他者を支配するコミュニケーション(命令・強制)、他者を欺くコミュニケーション(欺瞞)、他者と取り引きするコミュニケーション(対人交渉)など、対人コミュニケーションの諸相について触れた。
プロフィール
(ふかだ・ひろみ) ☆一九四八年生まれ
☆一九七六年 広島大学大学院教育学研究科実験心理学専攻博士課程単位修得退学
☆一九九九年 広島大学教育学部教授 文学博士
☆所属 広島大学教育学部心理学科実験心理学講座
☆専攻 社会心理学
(実験社会心理学、対人社会心理学)
広大フォーラム31期4号
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