フォトエッセイ(48) キャンパスの生物

文写真 濱田 仁美(Hamada, Hitomi)
原爆放射能医学研究所技能補佐員
           


 スナネズミ 
Meriones meridianus
 


  
 スナネズミ(英語ではMongolian gerbilです)の故郷は中国東北部、モンゴル東部の砂漠地帯です。戦後、医学用の実験動物として日本にやってきました。スナネズミの胃にはピロリ菌が感染し、人間と同じような病変が起きることから、現在いろんな研究室で活躍しています。(昔だって、アポロ計画の時、宇宙船に乗って活躍したのです。)
 スナネズミの活躍の場所は、研究室だけに限りません。愛らしい外見故に、ペットとして飼う人が増えてきました。私もそんな一人です。ストレスを感じるときでも、彼らを見つめていると心癒されます。
 大きさは12センチくらいで、ムックリした体。毛色は茶色。黒くてつぶらな瞳に、笑っているように見える締まりのない口元・・・。前足をあげて直立し、キョロキョロするその姿・・・。そんな彼らにfall in loveしました。ネズミが嫌いな人でも、ラットやマウスと違い、尾に毛が生えているので、「これなら、平気」と、飼う人もいます。
 夜行性で、毎晩ケージ内で、「タタッタタッタタタタタタタタタタタタタタタタ・・・・・・・・」と、穴掘り行動をしていて、とてもうるさいのですが、ペットのなかではあまり手のかからない動物だと思います。
 砂漠で生きるために、食べた物から体内で水を作り出す機能が備わっているので、水はほとんど飲みません。ですから、出すモノ・・・つまり、おしっこはほとんど出しません。大きい方も凝縮されていて、米粒大の硬い固まりです。雑食で、何でもよく食べます(特にひまわりの種が好き)。体臭も少なく、ケージのお掃除も週に一回程度です。よくなつき好奇心旺盛。滅多にかみつくことはありません。平均寿命が約二年というのは悲しいことですが・・・。
 とにかく、一度実物を見てください。もう、とりこになってしまいますよ。

陸 恵梅氏と筆者(右)



   

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