留学生の眼(75)
大学は印象的 お寿司が好き
文写真・ セルゲイ・ボブコフ
大学院国際協力研究科
博士課程前期
(開発科学コース)
子供時代から日本とは縁
子供のころ、私はかなり体が大きくて、太った子どもでした。両親と一緒にお婆さんとお爺さんの家へ遊びに行った時、お爺さんは「うちの孫は相撲の選手のようだ」とよく言っていました。私のお爺さんは医学の教授でしたが、外国語に興味があって、ヨーロッパの八か国語でしゃべれました。日本語は出来ませんでしたが、日本文化に関心がありました。中学生のころからお爺さんの図書室から日本についての本を借りて読みました。若いころから私と日本のあいだには縁が存在していたのです。その後、国立モスクワ大学歴史学部に入学して、日本語を勉強して、日本の歴史などについて勉強しました。博士号を目指して、広島大学へやってきました。今、広島大学国際協力研究科でお世話になって、博士課程前期に在学しています。研究分野は国際技術協力です。
キャンパスの美しさと便利さ
広島大学は私にとって、とても強い印象を与えてくれました。これまで日本の大学については、町の中で家に囲まれてしまって、コンクリート色で、コンパクトなものだと言う印象を持っていました。しかし、広島大学のキャンパスが目の前に現れた時、本当に驚きました。緑の中に、茶色い建物が堂々と並んでいました。地形に合わせて設計された建物はまるで木や川のように自然と溶け込んで見えました。キャンパスの中に川や松の木がそのまま残っていて、昼休みの時など外へ出て、太陽を浴びている草の上に座っていると気持ちは自然に落ちついてきます。春と夏は緑がいっぱいの大学は秋が来るとまた違う風景になります。紅葉が赤く、黄色くなると、大学は色彩に富んで、美しくなります。
このキャンパスで勉強するようになって、改めて、大学の新しさと便利さを感じています。建物、設備、食堂、図書館、スポーツ施設など大学に必要なものはとてもよく計画されていて、教師の仕事にも、学生の勉強にも快適な条件が整えられていると思います。特に印象的なのはコンピュータの高い普及率です。学生がコンピュータを自由に利用できることは教育にとって、とても良いことだと思います。広島大学をモデル大学として他大学の人や外国人に見学してもらえると思います。
日本料理の「虜」になる
日本に留学して、それまでは知識としてしか知らなかったことを初めて経験しました。初めての刺し身夕食は忘れることは出来ません。レストランのお婆さんが大きな皿を持って来ました。その皿のうえに置かれていたのは生魚でした。半分は刺し身になっていましたが、急にその魚の尻尾が動いたのです。一緒にいた日本人の友達はビールを魚の口に入れました。魚はまた動きました。体に良いから食べましょうと言われましたが口にするのが一寸難しかった。しかし、醤油をかけたその魚の刺し身は美味しかったのです。そんな味は生れて初めてでした。魚がまだ胃のなかで動いているような一寸妙な感じでした。その後、生魚の微妙な味の魅力に負けて虜になりました。今はお寿司、刺し身を美味しく食べています。日本料理は世界中で有名ですが、そのなかでやはり寿司と刺し身が代表的だと思います。生物ですので食文化が違う国の人にとって食べにくいところがあります。一度レストランで見ましたが、ある外国人の女性がネタを外して、熱いお茶でゆでて食べていました。
旅行をして分かったこと
暇がある時は家族を連れて各地を旅行しています。古いお寺とモダンな高層ビル、美しい自然と巨大な産業地域を見ました。日本の印象について語り始めるとキリがありませんが、その中で一番根本的なことは、活力とエネルギーです。大きな工場、小さい工場、畑などどこへ行っても仕事をしている人の姿は日本のエネルギーと活発さを感じさせます。今の経済大国日本を作って、支えている力は日本国民の労働だと言うことがよく分かりました。
浅草寺の風雷神門の前にて
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