去るにあたって

 市 原 利 彦(いちはら としひこ) 教育学部音楽教育学講座 


〈部局歴〉
 昭和36・4 (東京交響楽団)
   39・4 (NHK東京放送管弦楽団)
   46・4 教育学部福山分校
 平成元・5 教育学部
   
 


 私が広島大学福山分校に音楽実技(ヴァイオリン)の教官として赴任したのは昭和四十六年の春のことでした。中国地方を全く知らなかった私を、音楽科の先生方や学生たちが温かく迎えてくれました。その最初の心の触れ合いが、この二十九年もの年月の、一番支えになっていたように思います。世の変動とともに、音楽科も、高校教員養成課程から教科教育学科へ、また福山から西条へと、目まぐるしく変わりました。その都度自分の研究志向はどうあるべきか悩んだものです。しかし同僚の先生方や学生たちの音楽に対する熱意は変わりませんでした。それに引っ張られて、私も大学のオーケストラとコンチェルトを共演したり、外国でリサイタルを行うことが出来ました。最後の年にオペラのオケを演奏出来たのも幸いでした。私の研究の、執筆協力者であった音楽教育の先生、音楽の実践を応援してくれた同僚の先生方や学生諸君に心から感謝いたします。


昨年の研修旅行、蒜山高原のレストハウスで学生たちと



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