文化の衝突
花 崎 一 郎
(はなざき いちろう) 大学院理学研究科分子構造化学講座
〈部局歴〉
昭和40・4 (理化学研究所) 56・4 (岡崎国立共同研究機構)
47・6 (大阪大学) 平成9・4 理学部
53・12 (分子科学研究所) 11・4 大学院理学研究科
退職といっても、私の場合、分子科学研究所を停年退職後の三年間をお世話になっただけですから、長年勤められた方のような感慨はありません。
私は東京の下町で生まれ育った人間ですが、三十代なかばまで理研、それから阪大、さらに岡崎に二十年弱、そして広島と、あちこち移り歩きました。
その間、さまざまな文化の違いを体験しました。なかでも、駅などの人混みで、向こうから来る人、あるいは直交しようとする人を如何に避けてスムースに歩くか、という点で東西文化の絶大な差を感じたものです。東京ではなんでもなかったのが、大阪ではひっきりなしに人と衝突します。
名古屋はかなりマシで、広島は大阪寄りでしょうか。
要するに、互いの間合いの測り方が違うようなのです。こればかりはどうしても慣れることができませんでした。
退職後は鎌倉に住むので、この問題から逃れられるか、あるいは、三十年の間に東方文化も変質しているか、楽しみでもあり、不安でもある今日この頃です。
理学部を望む
広大フォーラム31期5号
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