退職にあたり

 松浦 雄一郎(まつうら ゆういちろう) 医学部外科学第一講座 


〈部局歴〉
 昭和36・4 (公立病院)
   40・7 (南カロライナ医科大学)
   43・5 医学部附属病院
   47・9 (公立病院)
   61・9 医学部
   
 


 昭和六十一年九月から、古巣である医学部外科学第一講座に帰局して、あっと言う間に十三年と数カ月が過ぎようとしています。長い間前線の病院にて、どちらかと言えば臨床一本でしたので、帰局当初は講座、医局の再建に全力投球でした。その間、学生にも講義や、ポリクリで接してはいましたが、四年前に病院長を、二年前に学部長を拝命し、これまでとは少々異なった形で、学生や若い医師たちを見ることとなりました。世間でよく、医の倫理の欠落が叫ばれている中で、一部を除き、彼らがそうした声に対応できるだけの医の倫理、心をそれなりに持ち合わせているのか、疑問、不安を抱くのであります。小難しい話しはさておいて、その基盤は、人としての誇り、人としての恥をどれだけ心得ているかによって、規定されます。残念ながら、多くの者らはそれらを、自ら失うか、失わされているように見えます。大学生活の中で、それらを取り戻して欲しいものであります。


ザンビア・ルサカの視察中の一こま



広大フォーラム31期5号 目次に戻る