これから

 ツル田 多津子(つるた たつこ) 医学部附属病院検査部 


〈部局歴〉
 昭和39・4 医学部附属病院
   
 


 昭和三十九年に広大病院に就職して以来、早や三十五年、私も来年は還暦を迎えます。先日読んだ本に、「六十才と言うと孔子の「耳順」と言う言葉が思いだされる。「論語」にある「六十にして耳順う」という言葉で、六十才で誰の意見にも耳を傾けられるようになったという事である。人の言葉に耳を傾ける事が出来るという事はなかなか難しいものである。その人の境涯と云おうか、人生経験の深さといおうか、人の話をよく聞くという事は大切な事である。一般的には長く生きてくると自分自身の経験に固執したり、頑固一徹で融通がきかなくなると云われるが、そういった時期にこそ、豊かな人生の知恵を生かして柔軟に人の話に耳を傾ける事が必要となってくる」と書いてありました。この年になって、私もしみじみ聞き上手になりたいと思います。又、六十年も生きてきますと、いろいろな事がありましたが、「楽」だけ求めるのではなくて、「苦楽」があるから人生は味があり、価値と充実が生まれるという事が解りました。これからの日々、「苦楽」を重ね価値ある人生を送る事が出来るよう頑張りたいと思っております。三十五年の長きにわたって無力な私を温かく見守って下さった検査部の皆様方に心からお礼を申し上げますと共に、二十一世紀に向かって、検査部がさらなる発展を遂げられますよう心からお祈り申し上げます。


緊急検査室で(平成11年12月14日)



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