停年前に思うこと
岡 野 正 義
(おかの まさよし) 総合科学部自然環境研究講座
〈部局歴〉
昭和36・4 (民間)
40・6 教養部
49 6 総合科学部
平成十一年八月から九月にかけて、四十一日間、国際協力事業団から、ケニアへ派遣されました。ケニア政府が日本の教育を高く評価し、ケニアの中等理数科教育に対する日本の教育的支援を求めているためです。実際に、ケニアの田舎の高校へ行って授業を参観しましたが、電気も水道もなく教科書も十分ない環境のなかで、生き生きと目を輝かせて勉強している子供たちを見て昔の日本の子供たちのイメージによく似ていると思いました。
研修のため日本へきているケニア人教師三名を、広島市とその周辺に案内する機会がありました。希望を聞いて、広島市の本通りと宮島へ行きましたが、そこで私たちが見たものは、座り込んだり闊歩する若者の不思議なすがたでした。本当に日本は胸を張ってケニアの教育的支援ができるのだろうかと、それを見ていささか心配になると同時に、日本の若者にも今一度きらきらした目の輝きを取り戻してほしいと思います。
平成十二年三月で満三十四年九カ月、広島大学でお世話になりました。その間、教養部が総合科学部に改革されるという大きな変化を経験しましたが、いま再び、大きな改革の波が打ち寄せています。どうかこの荒波を乗り越え、これからも国際社会のなかで指導的役割が果たされますよう、努力を続けてほしいと思います。長い間本当に有難うございました。
ケニアの国立公園にて(1999年9月5日)
広大フォーラム31期5号
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