いわゆる【五味】について一言
吉 田 繁
(よしだ しげる) 生物生産学部畜産科学講座
〈部局歴〉
昭和39・4 (私立学校)
41・3 水畜産学部
54・4 生物生産学部
広辞苑には[五味(仏)(1)甘・酸・鹹・苦・辛の総称。(2)牛乳を精製する過程における五段階の味。乳味・酪味・生酥味・熟酥味・醍醐味。]と記されています。
老子第十二章には[五味令人口爽]とあり、伊呂波字類抄十巻本には[五味 鹹酸苦甘辛]が記載されています。字鏡抄には[鹹カラシ、シホカラシ]などと発音する塩辛いの意です。
仏教がインドからヒマラヤを越え、シルクロードを経て中国に伝搬。敦煌・千仏洞第十七窟から発見された教典の中に涅槃教があり、[…従牛出乳 従乳出酪 従酪出生酥 従生酥出熟酥 従熟酥出醍醐 醍醐最上…]と記されています。
他に東洋の乳製品には乳酒、乾酪、バター等があります。ここで云う酪はヨーグルト、生酥はクリームチーズ、醍醐はバターオイル様の乳製品で、酪は牛乳中の揮発性脂肪酸・酪酸、醍醐は醍醐味として我々は日常に使っています。
このように【五味】には深い意味があり、化学調味料の普及に影響されて、旨味を加えた内容に変更する事は如何なものでしょうか。
広大フォーラム31期5号
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