世界の大学シリーズ51

トエンテ大学 オランダ王国




数理工学部の建物。金閣寺のように池の中にそびえるように建てられており,この大学内の建物の中でもユニークな存在である。

ホストであるファンデルシャフト(van der Schaft)先生と筆者。

キャンパス内の1ショット。キャンパスにはアヒルが飼われ,近所の人々がパンくずなどを与える。

トエンテ(Twente)大学
 トエンテ(Twente)大学は,オランダ王国のエンスヘデ(Enschede)という町にある。この町はドイツとの国境に近い位置(アムステルダムから列車で約2時間)にあり,人口約10万人である。東広島市とは人口だけでなく自然の多い環境である点もよく似ている。
 一方,大学は1961年に創立され,理工系の色彩の強い大学である。学部生数約6000人,スタッフ約2500人で,オランダ唯一の”キャンパス大学”(学生宿舎をはじめとして,スーパーや銀行など生活できるほとんどすべての施設が整った大学)である。
 私はこの大学の数理工学部のシステム,信号,制御学科に1998年5月から1年間滞在し,制御理論の研究を行った。この学科は教授2名,助教授2名,講師8名からなるが,世界的に活躍される研究者が多い学科として知られており,各国から客員研究員や講演者が頻繁に来訪する。どの学生もオランダ語の他に英語も流暢に話し(一般の人々にもあてはまる),勉学や研究に明確な動機を持って取り組んでいる姿が目立つ。
 10時と15時には毎日コーヒー(ティー)タイムがあり,気の合った仲間が集まり20分程雑談をする。誕生日には自らがケーキとコーヒーを用意して皆を招待しなければならない。これらはオランダ独特の習慣らしい。また5時になるとほとんどの人が帰ってしまうほど家庭を大切にする点も印象的である。
     工学部 井村順一 (いむら・じゅんいち)
 

 

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