疑問を感じる 経済学部長 前 川 功 一 入学おめでとう。 学生と接していて、当然、疑問を持っていいはずの場面なのに、なぜか疑問を抱かない学生が、最近増えてきたような感じがしてならない。ましてや講義に対して異論をさしはさむ学生など皆無である。学長、学部長らが順番に講義する総合科目「広島大学から世界が見える」を担当したときのことである。都合で法学部長に順番を代わってもらい、経済と環境問題について講義した。学生には交代することを掲示したが、それを見なかったのか、最後まで私を法学部長だと思って聞いていた学生が何人かいたようだ。講義の後で、感想を書かせたら四、五名の学生から「法学部長なのに経済のことを良く知っている」と誉められた。彼等は「法学部長」の話に違和感を持ったであろうに、なぜ講師の順番が変わったことに気がつかなかったのか不思議である。最近、大学生の学力低下が指摘されている。それが知識の量を指していっているのならさほど深刻ではない。それよりも今挙げた例のように、疑問も違和感も感じない、または追求しない態度の方が問題である。なぜこんなことになったのか。受験勉強の弊害であろうか。受験では短時間に多くを解答した者が勝利する。そのために一番効率的な方法は多くのことを記憶しておくことである。少々の違和感や疑問があっても、それにこだわり過ぎたり深く考え過ぎるのは得策ではない。それが習性となって今のような現象が生じたのかもしれない。小さな疑問を追及し続けた結果、大きな発見につながった例はいくらでもある。これからは疑問を大切にして欲しい。 |
00からのスタート 谷山 和則 二千年という節目の年、新たなスタートをきる新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。経済学部夜間主コースですが、昼間部との違いは講義を受ける学生にも様々な年齢の人がおり、一風変わった印象を受けるのと、大半の方が昼の自由な時間を使ってアルバイトをしたり、すでに職を持っていたりして、仕事と勉強の両立が要求される点です。昼の仕事、夜の講義というサイクルを早く生活に組みこんで適応させましょう。また、大学は高校と違い、講義を何単位取るかも、どんな行事に参加するかも本人の自主性次第です。特に四年後に就職を控えた皆さんは、様々な分野でアンテナを張り、次のビジョンを見据えた行動が大事になって来ると思います。硬い事ばかり書いていますが、勉強ばかりが大学生活でもありませんし、サークル活動や、気の知れた友人を作ったりと、せっかくの新しい環境、前向きに動きましょう。皆さんにとって、これからの四年間が充実し、自らのステップアップになる事を願っています。(文中写真・本人中央白鉢巻。) |
新入生へのメッセージ 末吉 麻依子 あなたは気づける? 大学に入ったらどんなことをしたいですか?大学に入れば他大学の人との交流があるだけではない。今まで想像をしたこともないような世界の人との出会いが、ある人はある。ある人はあるのだ。言い換えれば気づく人は気づくのだ。たとえば、クラシック音楽を知らない人がバイト先で、音楽大学の女性と知り合った。そこからその人にはクラシック音楽の世界への扉が開かれる。そんな出会いがあなたの周りには無数にちりばめられている。すべての出会いをつかみ、すべての世界を手に入れる人はいないかもしれない。しかし、少なくとも何にもしないでただ、学校と家を往復している人よりもきっと楽しい話が出来るようになる。大学に入ればお酒を勧められる機会が増えるだろう。ウォッカって知ってる?ジンは?テキーラは?ラムは?あなたはお酒についてまだ何も知らない。思っている以上にまだ知らないことは多く、知るための自由な時間もまた多いのだ。このことに気づいたときが本当の意味での大学生活の始まりとなる。そして、他の世界を知るためにポジティブに人と出会うのだ。卒業を迎えたとき、多すぎるくらいの可能性を持つ人となれるかどうかはその人の自覚次第である。そこから進む将来に良い悪いはない。自分の信じる道を行けばよい。ただ、この四年間はその信じる道を探し見極めるために悩み、試行錯誤すべき時間なのだ。(文中写真・本人最前列の白バッグ。) |