医 学 部


「新しい世紀の医療・保健を担う若者へ」

医学部長 大濱 紘三


 入学おめでとう。今の新鮮な気持ちを忘れずに、これからの学生生活を有意義に過ごして下さい。これからの四年間あるいは六年間に、広島大学という大きなキャンバスに自分の将来への夢を思い切り画いて下さい。そして卒業する時には皆でそれを点検し、評価しようではありませんか。
 昨今の医学・医療の分野は急速な進歩をみせています。ヒトの本質の一つである遺伝子もすでにその九○%以上が解明され、一〜二年後には全てが解明されるでしょう。それに伴い各種疾患の原因遺伝子や、薬物に反応する遺伝子、あるいは体質や素因に関わる遺伝子などが次々と明らかにされ、医学や医療に大きな変革がもたらされると予想されます。現在でも学ぶべき知識や取得すべき技術は相当量に達していますが、今後は更にそれに輪をかけたものになるでしょう。皆さんはこれらを順次理解し習得していくわけですが、単に教えて貰うという受け身的発想ではなく、自らが真理を究めるという能動的な姿勢で臨んで下さい。
 一方、現在の医療の現場では「全人的医療」が求められています。これは医療が従来の病気を対象とするものから、病気を持った人を診るものへと変化したことを示しています。すなわち、物体としての人の身体を対象にするのではなく、その人の内面的な心を大切にする考え方です。そのため医療従事者には幅広い人間性が求められます。大学は学問の府であると同時に多くの師や友人を作る場でもあります。どうか自分の学部や学科だけでなく、外部にも師や友人を求め、大いに自分を磨いて下さい。


 

「後悔は『後』でもいい」

保健学科作業療法学専攻 松岡  正


 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 皆さんは今、長い間の苦労を乗り越え念願をかなえ、晴れ晴れとした気持ちでいっぱいだと思います。それと同時に大きな不安も抱いていることでしょう。しかし、その不安を恐れないで下さい。その不安を適度な緊張感に変え、のびのびとした気持ちで大学生活に臨めばきっと充実したものになるはずです。
 あなたたちは医学という大きな道に進み、二十一世紀のこれからを担っていく大きな希望の星となるのです。そこで私から一言皆さんに言っておきます。それは、自分の興味の持てることにどんどん挑戦していって下さい。挑戦して達成感を得ても、後悔をしたとしても、それはあなたたちにとって決して無駄にはならず財産になるはずです。しかし、決して挑戦しないで後悔することだけはやめて下さい。これだけ心に留めてこれからの大学生活を充実したものにして下さい。
 皆さんのご活躍を心よりお祈りしています。

 

「医学科へようこそ」

大学院外科系専攻 松山 茂生


 新入生のみなさん、医学科入学おめでとうございます。
 みなさんはいろいろな思いや希望をもって医学科へ来られたことでしょう。これから六年間、医の道、医の心を学んでいくわけですが、入学された今この時点で、みなさんは何用あって医学科に来られたのか、再度考えてみていただきたい。昨年は医大生の不祥事がマスコミに大々的に取り上げられ、中には興味本位や偏見により、すべての医大生を中傷するような報道も見受けられました。ますます世間の医学科を見る目が厳しいものになってきているように思います。みなさんは今後、それらの評価をより良い方向に修正していくよう努力していく必要があります。
 一方霞キャンパスは、現在再開発の真っ只中であり、この数年間でRI研究共同施設をはじめ、動物実験施設や保健学科の校舎等が建設されました。また新病棟の建設も急ピッチで進められています。今後、医学部はこれらの施設を基盤として、大学院や附属病院とともに教育・研究・診療を三本柱として地域医療の中核をなしていかなくてはなりません。
 いろんな意味において、これからの広島大学医学部医学科を背負っていくのはあなた方です。医学科に入るまでではなく、これからが本当の勝負の時期ですよ。
 がんばってください。ご健闘をお祈りしています。

 

「胸を張って言えることを!」

大学院生命薬学系専攻 岡田 真二


 新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。今、皆さんはこれからの大学生活をどうするか考えていることだと思います。
 私は学部時代、成績も良い方ではなく、なんとか卒業できたという感じです。しかし、そんな私にも胸を張って言えることがあります。それは四年間クラブに熱中してきたということです。クラブを通じて多くの人に会い、多くの経験をしてきました。
 四年間なんてあっと言う間です。気がつけば終わっていたなんてことのないようにして下さい。学生生活をより密度の濃いものにするためには「勉強+α」、何かひとつやり遂げることが大事だと思います。自分がこれだと決めたことに、強い信念、大きな目標を持って取り組んで下さい。一年生の時はいろいろな体験をし、自分が熱中できることを見つけるのもいいでしょう。
『enjoy』という楽しさも必要だとは思いますが、それだけで過ごすには四年間は貴重すぎます。『あなたは学生時代、何をしてきましたか?』という質問に、胸を張って答えることができるよう、熱中できる何かを見つけて下さい。

 



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