経済学部

 
マルサスの逆問題
経済学部長 前 川 功 一


 卒業おめでとう。
 マルサスは「人口は幾何級数的に増加するのに対して、食料の生産は算術級数的にしか増加しないから、人類はやがて食糧危機に見舞われる」と警告した。たしかに地球的規模で見れば途上国の人口増加と食糧危機は深刻になりつつあり、マルサスの言うとおりかもしれない。ところが日本では年々若年人口が減りつづけ、これが社会問題になりつつある。マルサスは幾何級数的に人口が増えると大変なことになると警告したのだが、日本が直面している問題は、マルサス説の逆問題、すなわち幾何級数的な人口減少である。女性一人が一生の間に平均二人の子供を出産すれば人口は増えもせず減りもせず安定するはずだが、現在の日本ではその数字は一・三八人だそうだ。これは年率一・三パーセントの減少に相当し、このペースで行くと日本の人口はは五十年で半減、千年後には、ほぼ日本人は絶滅すると言われている(日本経済新聞二月七日)。これは大変だ、新たな千年紀に入ったからと言って浮かれている場合ではない。しかし、この人口の将来予測はいろいろな前提条件の下で計算されたもので、その前提が千年続くかどうかは定かでないのだから、千年先のことをあまり心配しても仕方ない。とはいえ、数十年先まではおおよそ今のペースで人口が減るのではないか。経済の精密な長期予測はむずかしいが、将来人口に基づく大まかな予測は、現実味を帯びている。多くの社会経済問題は人口問題が絡んでいる。例えば団塊の世代対策、少子・高齢化社会の問題、教育、医療・福祉問題などがそれである。これからの社会を占う上で、ここで言う「マルサスの逆問題」は一つのキーポイントだろう。これが諸君への最後の経済学ワン・ポイント講義である。前途のご多幸を祈る。  
 
最高ですか
有田 賢正


 学生生活を送ってきました。西条で過ごした日々はそれほど長くはなかったけれど、多くの思い出ができました。私は普通の日々を過ごした学生でしたが、私は幸せでした。経済学部に最高の友達ができました。サークルで、かけがいのない仲間に出会えました。親の大切さを知りました。人の死について考えさせられました。人を愛することのすばらしさを知りました。悩んだこともありました。楽しいこともありました。すばらしい日々でした。海に行きました。山にも行きました。旅行をたくさんしました。勉学もしました。浴衣祭りでかき氷屋さんをしました。斗酒なお辞せずのときもありました。誰にも負けないぐらい充実した日々でした。人と人との出会いはまさに一期一会です。私は広島大学でみんなに出会うチャンスをもらいました。私は多くの人のおかげで生きていられます。卒業というひとつの節目に、ここでみんなに出会えたことに感謝をしたいと思います。(文中写真・本人左から三人目。)  
 
卒業にあたり
市瀬 陽介


 まもなく大学生活が終わろうとしています。入学時に作った貯金口座の収支合計が四百万円を超えました(授業料を除く)。すごいものです。四年間でこの金額です。高いと見るか安いと見るかなかなか難しいところです。贅沢したつもりはありませんが、結構な額になりました。両親に心より感謝したいです。さて、この四年間いろいろな経験を積むことができましたが、特に力を入れたのがバイトと勉強です。バイトはせざるを得ない状況がありましたが、でも、いつしか楽しくなり、辞めるに辞められなくなり続けてしまいました。今では中堅の位置です。
 勉強は日々少しずつ取り組みました。やはり曲がりなりにも学生ですし、また結構楽しくもありました。今大学は過渡期であり、大変厳しい状況にあります。そんな中、学びやすい環境が、関係各位のご尽力によりさらに充実していくことを期待しています。もちろん、我々学生もそれに応えるべくつとめるべきでしょう。最後に、四月から進学し向こう二年間お世話になりす。また、よろしくお願いいたします。以上。(文中写真・友人の結婚式にて。本人真中のヒゲ。)
 



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