医 学 部


「医学部 卒業生の諸君」

医学部附属病院長 梶山 梧朗


 いよいよ、六年間の学生生活を終えて医師として社会活動をスタートさせる時が近づいてきました。
 厚生省はより社会に役立つ医師を得るために、更に二年間の卒後研修の義務化を皆さんに求め始め、その準備を始めていることはご存じの通りです。広島大学も今年からその準備に向かってスーパーローテートを開始しようとしています。
 社会はより一層高度の知識をもつ医師を求めていることは事実です。しかし、今何よりも求められているのは医師の人間性です。患者の心が理解出来る医師が今迄以上に求められるようになりました。卒前教育ではこのことを実感として教えていません。皆さんが一人一人患者と対峙しながら理解してゆかねばなりません。このことをしっかりと胸に抱いて社会に巣立って下さい。


 

「慣性ではなく、感性を重視した医療者に」

保健学科看護学専攻 深谷 基裕


 卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。四年間を振り返ってみて、どんな大学生活だったでしょうか。楽しいこと、悲しいこと、うれしいこと、辛いことなどいろいろな思い出が浮かんでくることでしょう。
 保健学科は臨床実習の期間が長く、先輩たちとふれあう機会も少なかったように思いますが、その中でも実習に行き詰まった時に、親身になって相談にのっていただいたり、的確なアドバイスをしていただいたことは、今でも忘れることができず、感謝に堪えません。
 ところで、最近、医療機関での看護婦(士)による医療ミスが新聞紙上をにぎわせています。人の命にかかわる我々の職業は、たった一つの過ちがとり返しのつかない大事故につながります。先輩たちの臨床実習への取り組み方は、どこまでも患者さんのことを尊重し、創造的で、既成概念にとらわれない、感性による看護が行われていたように我々在校生には見えました。慣性も確かに大事なことですが、慣性に頼りすぎは医療ミスを生む原因になります。しかし、感性は慣性とは違いケアの質をどこまでも向上させます。看護職、作業療法士、理学療法士として、これから社会に出られる先輩方が、新しい環境に慣れていくことも必要ですが、慣性ではなく感性を尊重し、ここで身に付けた知識と技術を生かして、社会でご活躍されることを在校生一同応援しています。  

 

「後輩からの感謝とお願い」

医学科 谷本 新学


 御卒業おめでとうございます。広島に残られる方も外に出られる方もいらっしゃると思います。学生という、良く言えば自由で何でもできる可能性があり、悪く言えば責任が少なく、なんとなく過ぎていく生活から、責任があり大変だけどやりがいのある充実した生活に変わると思いますが、患者さんのため、先輩方自身のために頑張ってください。
 広島大学の医学部も時の流れに乗って、今も変革のまっただ中にいます。本学が西条にいって日が浅く、先輩方は新カリキュラム一年目で私たちの頼れるのは先輩方だけでした。テストや先生方の情報から参考書やノートに至るまで、本当にお世話になりました。特に部活の先輩には、学業や部活の事だけでなくプライベートな事まで色々とありがとうございました。
 卒業試験や国家試験も終わり、新しい生活が始まると思います。二、三年は大変な生活になると思いますが、将来的に広島にとどまることなく様々なところで活躍される事を願っています。その時にも心のどこかで、同じ場所で学んでいる後輩のことも気に掛けていただければ幸いです。これからもよろしくお願いします!

 

「卒業生、修了生のみなさんへ」

大学院生命薬学系専攻 黒瀬 陽子


 卒業生、修了生のみなさん御卒業おめでとうございます。これまでの生活でどのようなことを経験したでしょうか?全てのことが幸せで、楽しいことばかりではないと思います。それでも『自分にとっていい経験だった』と思える、十分意味のある期間だったのではないでしょうか。
 直接先輩方にお世話になったり、後輩と話をする機会のほとんどが研究室配属になってからでした。何の事やら分からない実験を行っている様子をみて、当初は(今でも、ですが。)かなり不安を覚えました。大騒ぎしながら実験していた私も、多くのことを丁寧に教わるうち、今では拙いながらも後輩に教える立場になってしまいました。これからは相談する相手がいなくなり、また一緒に騒いでもらえなくなって不安ではありますが、先輩方に負けないように努力して行かなければと思っています。また、私よりも後に入ってきた後輩が先に卒業してしまうのは、なんとなく変な感じで、非常に寂しいものです。特に就職される方は、社会人としては私より先輩になってしまうわけですから。頼りがいのあるどころか、逆に手のかかる先輩で申し訳なかったと反省しています。
 これからの生活では改めて『新入生』として始まるわけですが、学生生活で培った経験を生かして、私たちが驚く程活躍されることを期待しております。

 



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