はじめての中国地域インターンシップを終えて

文・ 田 畑 佳 則(Tabata, Yoshinori)
  教務委員会
  インターンシップ・ワーキンググループ座長
  大学院国際協力研究科教授
 昨年から、中国通産局、中国地方の大学・高専及び企業・地方自治体等の連携の下に「中国地域インターンシップ」制度が開始されました。それまでにも独自にインターンシップを実施している学部や研究科が無くはありませんでしたが、全学的な実施は初めての試みです。初年度は応募者が予想をかなり下回ったものの、参加した学生達の反応は、この制度の意義を再認識させるとともに、将来に向けて十分手応えを感じさせるものでした。「インターンシップ」については耳慣れない人も少なくないと思われますので、昨年の報告でこの制度を紹介し、学生の皆さんの一層のチャレンジを期待したく思います。


インターンシップとは

 インターンシップとは、学生が企業等で実習・研修的な就業体験をすることで、それによって教育効果を高めようとする取り組みです。学生にとっては、専門分野に関わる実社会を体験することによって、「社会」に対する理解や専門分野への関心も深まるなど、その後の専門の勉強にフィードバックすることができます。社会人となるまでに、何が必要かを認識し、学習目的を明確にし、将来の職業選択に役立てることができるなどの効果が期待されます。


実施状況

 初年度は、中国地方の二百九十三の企業や自治体等と二十六の国公私立大学及び高専が参加しました。四月十九日からの一次募集及びその後の二次募集に、広島大学からは五十七名、百二十一件の応募があり、三十社三十四業務に四十一名の受け入れが決定しましたが、怪我等での辞退もあって、最終的には二十七社三十業務で計三十六名(二年次生七名、三年次生二十九名)が夏季休業期間中、約二週間から一カ月の就業体験をしました。
 参加に先立ち、七月三日には、学生就職センターの松水センター長と元(株)マルニ取締役人事部長(学生就職センター相談員)の若宮氏をお招きして、インターンシップの趣旨や心構えなどについてガイダンスを実施し、インターンシップ終了後は、所属学部へ提出された実習記録と実習報告書及び企業等から送られた評価書に基づいて成績評価がされました(但し、単位を認めている学部のみ)。


報告会

 インターンシップの体験について聞くとともに、今後の改善に資する目的もあって、十一月二十五日にインターンシップ報告会を開き、教育学部三年:天畠彩さん(体験先:通商産業省中国通商産業局)、法学部三年:河野幹章君(体験先:かもめ信用金庫)、工学部三年:沖政果苗さん(体験先:広成建設株式会社)の三名に体験報告をしてもらいました。紙幅の都合で詳しくは紹介できませんが、「学生と社会人との違いがわかった」、「現場で何が求められているかわかった」、「特技の必要性を痛感した」、「進路選択に対する心構えができた」などの感想が聞かれました。
 受け入れ企業側からおいでいただいた広島銀行研修所研修課長、柴義彦氏とシャープ(株)情報通信システム開発研究所係長、小森山光朗氏からは「厳しい競争の中で、どんな人材が求められるのかくみ取ってほしい」、「職業観を見つめ直すきっかけにし、それを、大学での勉強に反映させてほしい」といった要望が述べられ、意見交換が行われました。


おわりに

 初年度、応募者が少なかったのは、初めての試みで、「インターンシップ」がどんなものか理解されにくかったことと、皆さんに広く知らせる時間的余裕がなかったことによると思われます。インターンシップ情報については、大学のホームページ(キャンパスライフ)を参照して下さい。また、企業が独自に募集しているものも少なくないようですので、関心ある企業のホームページを訪ねて、チャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。


報告を行う天畠彩さん
 平成十二年度「中国地域インターンシップ」の企業等の受入れプラン情報は、次のインターネットのホームページで平成十二年四月十日(月)から検索できます。
http://www.chugoku-internship.gr.jp



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