現代ゴミ拾い事情
文写真・ 野 村 正 人
(Nomura,Masato)
広島大学キャンパスレンジャーグループ代表
(附属図書館情報サービス課)
自分たちの環境を考え、行動しようと発足したのがキャンパスレンジャーグループ。これまでの学内清掃活動を通じて感じた点をいくつかあげてみた。
ぼくたち捨てる人
キャンパスで自然観察会を行うときに、参加者に松葉火箸やごみ袋を渡して、清掃活動も同時にやってもらう。観察会には教職員のほかに一般市民の方もたくさん参加してくださる。たいていの場合、自然観察というよりは熱心なごみ拾いが始まる。野鳥がすぐそばに来ているのに、吸い殻や空き缶のほうが気になってしまう。
学生たちがふだん何気なくポイ捨てしたゴミをキャンパス自然観察会に集まった一般市民の方たちが拾う。こんな企画でいいはずがないといつも思う。
西条駅から大学までのキャンパスブールバールはとてもきれいな道路。広島県内でも一番ゴミの少ない道路だと思う。バスの車中から安心して景色を楽しむことができる。一般市民の方たちが散歩のついでにゴミ拾いしている姿を見かける。
新春キャンパス探鳥会でゴミ拾いに汗を流す参加者たち(2000年2月27日山中池周辺にて)
もう少しの辛抱
小・中学校で環境教育が盛んに行われている。町や身近にある河川のゴミ拾いをしている子供たちの姿が新聞報道される。人の捨てたゴミを拾う経験をした子供たちは自分では捨てなくなるだろう。その年代の子供たちが広島大学に入学するようになれば、キャンパスはもうすこしきれいになるに違いない。その日のためにも、今のゴミを拾っておかねばならぬ。
歩行禁煙
キャンパスのゴミで一番多いのはタバコの吸い殻。ある日の昼休みにカウントしながらゴミ拾いをしてみたら、六百数十個のゴミのうち四百個以上は吸い殻とタバコの包装紙。吸い殻ゴミをなんとかするだけでキャンパスはずいぶんきれいになるはず。
近所の福山大学では、キャンパスのほとんどが歩行禁煙になっている。このキャンパスは一目できれいさが分かる。広島大学でも歩行禁煙区域を設けてほしい。
捨てさせない教育だけでは不十分かもしれない。大学に入学後何気ないきっかけで喫煙を始めてしまう若者は多いはず。入学直後のオリエンテーションで禁煙教育をやって欲しい。
食堂が足りない?
吸い殻の次に多いのが食品の包装紙や弁当殻。菓子パンのビニール袋もよく見かける。腹をすかせた学生がパンを食べながら、教室を移動、食べ終わって包みをポイ捨てするのか。キャンパス内に食堂や気軽に弁当を食べる場所が少ないのも事実。
おしゃべりに興じる木陰やベンチが少ないのも気になる。豊かなキャンパスライフのためにこれらの施設も充実して欲しい。
ゴミ箱が少ない?
学生にアンケートを取るとゴミ箱が少ない、もっと設置すべきだという意見がたくさん出てくる。しかし、ゴミ箱がないからといってそこらに捨てていいはずはないし、へたにゴミ箱を設置するとそのまわりが汚くなる。やたらに設置すればいいというものではないと思う。
夏は清涼飲料水、冬はコーヒーの空き缶や紙コップがあちこちに放置される。
実施は難しいかもしれないが、缶や紙コップに一定の保証金をつけて、回収時に返金するという制度を大学の中だけでも実施できないものか。
広島大卒というブランド
広島大学は納税者から若者を預かり、四年以上かけて世にお返ししている。広島大卒というブランドを付けてである。彼ら、彼女らが広島大学での学業をもとに世界で活躍してくれることを期待する。同時にゴミのポイ捨てをしない、道に空き缶が落ちていれば、軽い気持ちで拾ってゴミ場に持って行く、環境をよくするためにはどんなことをすればいいか積極的に提言、行動できる、そんな社会人になって欲しいと願うばかりである。
広大フォーラム32期1号
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