世界の大学シリーズ54

フレッド・ハッチンソン癌研究センター
アメリカ合衆国




研究室の窓から見た、スペースニードルと雪化粧のオリンピック山脈

公衆衛生科学部門のあるビルディング

センターを写したポスター

会議室から見た景色

公衆衛生科学部門のオフィス

フレッド・ハッチンソン癌研究センター
 海と湖と山に囲まれた「エメラルド・シティ」の愛称を持つアメリカ・ワシントン州・シアトル。フレッド・ハッチンソン癌研究センターは,そのシアトル市内にあり,しかも米国北西部の豊かで美しい自然に容易にアクセスできる素晴らしい環境の中にあります。
 フレッド・ハッチンソン癌研究センターは,骨髄移植の先駆的業績で世界的に有名であり,現在2300人以上のスタッフがいます。当センターはClinical Research,Human Biology,Basic Sciencesそして公衆衛生科学部門のPublic Health Sciences(PHS)の4つのDivisionから構成されています。私は1997年6月から2年2カ月間,このPHSの客員研究員として滞在することができました。PHSは,生物統計,疫学,癌予防,癌生物学(分子疫学・遺伝学のラボを含む)の分野から構成され,本部門だけでも100人を超す専門研究員と多くのスタッフを擁し,総勢700人を抱えています。そのDirectorはワシントン大学の生物統計学部の教授も兼ねるRoss L. Prentice教授であり,彼は以前,広島の放射線影響研究所に1年間滞在した経験を持ち,広島のことは良くご存知でした。PHSの研究員のほとんどはワシントン大学の教授・助教授などを兼務しています。そのため,当部門はワシントン大学の関連学科とも連係して研究活動を進める事が可能となっています。勿論,センター内の臨床研究部門や基礎科学部門などとも密接な協力・共同研究体制が取られており,研究を合理的に進めるための分業・役割分担,それを行うための十分な人的資源の確保には本当に驚かされました。
 現在3つに分かれている研究センターのキャンパスは,将来South Lake Unionの湖のそばのキャンパスに1つにまとまるそうです。ラボや臨床系は移転中です。シアトルは「全米で最も住みよい都市」に選ばれた事もあり,特に日照時間の長い夏の季節は最高でした。共同研究も引き続いているため,また訪ねる予定です。
原爆放射能医学研究所 環境情報計量生物分野 松浦正明

 

 

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