ストップ!ザ交通事故(2)




 キャンパス内外で多発している交通事故。その中でも、二輪と四輪の衝突・接触事故が多いと思われます。読者の皆さんも、一度や二度は「ヒヤッと」した経験をもっているのではないでしょうか。
 今回は、不幸にも実際に事故に遭遇してしまった、被害者と加害者に、その体験を語ってもらいました。自分の「ヒヤッと」経験とくらべてみて下さい。
 新学期です。初心者マーク付きの車も増えることでしょう。くれぐれも安全運転をお願いします。



一瞬の死角(広島大学教員 N)

 軽微な「事故」を起こしたことがあります。駐車場から出ようとした際,右方から近づいて来るスクーターに気づかず接触転倒させてしまったのです。当方がノロノロ運転(時速ゼロに近い状態)だったことが幸いして,人身事故にはならず,警察を呼ぶこともしなかったので,正規の「事故」扱いにはなりませんでしたが,実際上,初めての交通事故経験だったので,気が動転してしまったことをよく憶えています。
 この事故を単に筆者の運転技術の未熟さと不注意に帰すのではなく,どうして,筆者が右方からのスクーターに気づかなかったのかということを考えてみたい。この場合,駐車場を示す看板が妨げになって右方向からの車両が見にくく,特にスクーターのような小型車両は,一瞬死角に入るということがあったのだと思われます。そのため,筆者は右方確認をしたにもかかわらず,接近しつつあるスクーターを見損なったわけです。
 東広島キャンパスには,いくつも大きな駐車場が整備されており,昨年から実施されているゲートコントロールによって,交通秩序も維持されるようになってきました。しかし,筆者の苦い経験を踏まえて言わせていただければ,出入り口付近に設置されている看板については車の運転席からの視界を遮らないような高さ及び形状のものを工夫していただきたい。また,季節によっては雑草が繁茂して視界の妨げとなる場合もあるので,この点にも留意していただきたい。


原付では身体を守るものは何もない
― 転倒事故に遭った経験から ― (平成10年度卒業 K)


 私が交通事故に遭ったのは,広島大学在学中,4年生の6月初めのことでした。就職試験を目前に毎日大学で勉強をしており,その日も朝9時頃,いつものように原付に乗り,大学に向かっていました。私は原付で,いつもブールバールの車道と歩道の間にある隙間(ちょうど原付が走ることのできる程の幅がある)を大学に向かって走っていました。その隙間を走ると自動車をどんどん追い抜いていくことができるのです。
 事故にあったその日,交差点まではまだ距離があり,赤信号で私は自動車の横で止まっていました。青信号になり一斉に車が動き出しました。私も時速20`〜30`くらいで走り始めました。ちょうどその時,私の少し前にいた自動車が交差点でもない所で,突然,左にウインカーを出し,左に曲がり始めました。まさかこんな所で左に曲がるとは思っていなかったので,私は驚き,自動車にぶつからないようにととっさに急ブレーキをかけました。しかし,急には止まることができず,体制を崩し自動車に巻き込まれる直前で転んでしまいました。そして,転んだ私の左足の上に原付が倒れかかり,その場から動くことができなくなったのです。すぐに救急車で病院に運ばれ,即入院ということになりました。結局,左足に2カ所の骨折を負い,2回の手術をして,2カ月半にわたる長い入院生活を送りました。事故の原因としては,自動車側が急に左に曲がろうとしたこともあると思いますが,私の前方不注意もあったと思います。原付にも乗り慣れ,変な自信もあり,「このくらいは大丈夫」という気持ちがあったのかもしれません。幸い,スピードもあまりでておらず,ヘルメットもしっかりかぶっていたので,足の骨折という程度ですみましたが,改めて「原付では身体を守るものは何もない」ということを強く感じました。
 現在,私は原付ではなく自動車に乗って通勤しています。運転中,横に原付が来ると,まずスピードを落とし,余裕のあるところで抜くようにしています。そして,左折をする場合には,しつこいほど巻き込み確認をしています。これは,自分が遭った事故の経験から,自動車に乗る人にしっかり注意して欲しいと思ったことです。
 大学生の皆さんは,原付に乗る人が多いと思います。便利な乗り物と思いますが,中には,慣れてきて我が物顔のように原付を乗り回している人も多く見かけます。自分は絶対に事故なんてしないと思っているのかもしれませんが,ルールを守らないむちゃな運転は必ず事故を招きます。原付といえども,車両を運転しているということに責任を持ち,自動車と原付がお互いに相手のことを考えながらルールを守ることが大切ではないかと思います。決して交通事故に遭うことなく,楽しく実りある大学生活を送って欲しいと思います。

広大フォーラム32期3号 目次に戻る