基礎科学の中で近年の変貌がもっとも著しいのは生物学である。二十一世紀は生物科学の時代とされ、米国の大学の理工系学部で生物学を必修教科とする動きが広がっている(MITの一九九三年に始まる)。生物学の現況は分子生命科学と生物多様性論(個体レベルの種の生物学)に峻別されている。実は両者は車の両輪であり、専門書はいざ知らず一般教養書にあってはこの両者は止揚されねばならない。日本の生物教育(教科書、カリキュラム、入試)はこうした情勢に明らかに遅れをとっている。
プロフィール (わたなべ・かずお) ☆一九四三年兵庫県宝塚市生まれ ☆京都大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士) ☆大阪大学大学院医学研究科(微生物病研究所)助手、鐘紡がん研究所主任研究員、広島大学総合科学部助教授を経て一九九四年同教授 ☆一九八九〜一九九○年ケースウェスタンリザーブ大学客員助教授 ☆著書:『岩波ジュニア科学講座』岩波書店、 一九八五、ほか ☆専門:動物発生学、形態形成論、種生物学 |