ネットワーク社会の用語集 (2)




I T

文・情報通信・メディア委員会 角 川 裕 次
(Kakugawa, Hirotsugu)


 ネットワーク社会で使われる用語にはいろいろありますが、計算機科学/工学がバックに付いている正統的な専門用語もあれば、出所が怪しい用語も当然あります。(正統的な専門用語の理解には、計算機科学/工学の話がそれなりに必要となります。)
 さて今回は、某先進国の首相がしきりに口にし始めたことで話題の用語、ITです。ちなみにこれは、出所が不明な用語のひとつです。難しいことはありません。御安心下さい。



【IT】
 Information Technology の略で、アイティーと読みます。英語の人称代名詞の it 「それ」、ではありません。日本語でいえば、「情報技術」です。簡単にいえば、コンピューターを使って何かをする、そういう技術のことをいいます。数年前から使われ出した言葉です。
 昔から「コンピューター化」という言葉はよく耳にしますね。「コンピューター化」は、計算を速くするなど、コンピューターに手作業の代わりをさせるといったものです。これとITとは、どう違うのでしょうか。
 単なるコンピューター化とITとが決定的に違う点は、時々刻々変化する地理的に分散している情報をネットワークを通じて集めていくところにあります。そして集約した情報を基にし、経営、物流、製造などにおいて最適な判断を迅速に行うのです。もちろん、それを可能にするにはコンピューターの導入だけでは無理で、絶えず変化する状況に瞬時に対応できるよう、人の組織と意識の変革も不可欠といえるでしょう。
 このように「IT」は技術用語でなく、技術のことを指す日常用語ですので、大ざっぱに「コンピューターとネットワークを使って情報を集めてナニカをして経営効率をあげる」程度に理解すれば、それで十分です。
 コンピューターとネットワークを導入して業務でナニカをする、ということを言うときに、「IT」を使うといいでしょう。例えば、「学籍データの管理にITを導入する予定です」という風に使えばバッチリです。


広大フォーラム32期3号 目次に戻る