第1回運営諮問会議を開催



 第一回広島大学運営諮問会議が七月三日、広島市中区のホテルを会場に開催されました。ここに、会議の審議状況を公表します。
 なお、ホームページでも同様に公表しています。
(URL:http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~soumu/unei-shimon/mokuji.htm




運営諮問会議とは
 運営諮問会議は,大学が社会からの意見を聴取し,社会に対してその責任を明らかにするとの観点から,本学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画や教育研究活動等の状況について本学が行う評価等に関する重要事項について,学長の諮問に応じて学外有識者が審議し,学長に対して助言または勧告を行うものです。
 会議のメンバーは,文部行政,高等教育,学術研究,中等教育,企業経営,情報メディア,法律等の学外有識者で構成されており,国立学校設置法に基づき,本年4月に設置されました。


 

本学の現状及び将来構想について

 会議では、原田康夫学長の挨拶に続き、各委員及び大学関係者の紹介の後、運営諮問会議の会長に井内慶次郎(財)日本視聴覚教育協会会長、副会長に佐竹覚(株)佐竹製作所代表が選出されました。
 続いて、牟田副学長から、本学の現状として次の五点について説明がありました。
1.評議会等の管理運営組織
2.入学者の状況及び入試制度の改善について
3.就職状況と進路指導体制の強化について
4.教育研究活性化のための特色ある取り組みについて
5.地域社会との連携について
 さらに、生和副学長から、本学の将来構想について、「二十一世紀の広島大学像マスタープラン」により次の七点について説明がありました。
1.広島大学が目指すべき方向
 ─個性が輝く真の総合大学の実現─
2.学部教育改革の方向
 ─基礎・基本と教養を重視した人間教育の充実─
3.大学院の整備方針
 ─柔軟な教育研究体制の構築による大学院教育の飛躍的拡充─
4.研究活動の活性化
 ─学術の高度化・複合化に対応できる研究活動の活性化─
5.地域社会・国際社会との共存
 ─地域社会や国際社会とともに発展する開かれた大学へ─
6.組織運営方法の改善
 ─自主性と自己責任性を明確にした自律的な大学運営─
7.キャンパスの整備計画
 ─環境調和型キャンパスとディジタル・キャンパスの実現─
 以上の説明を受けて、各委員から次のとおり貴重な意見、要望等が出されました。今回出された意見、要望等を参考に、次回の運営諮問会議で、具体的な事項について諮問する予定になっています。


質疑・意見交換

 はじめに、委員から運営諮問会議と新構想大学等において設置されていた参与会等との違い及び運営諮問会議の意見はどう取り扱われるのかとの質疑があり、大学側から、平成十年に大学審議会から「大学の教育研究目標・計画、予算、自己評価、地域社会や産業界との連携・交流や社会貢献の状況等の事項について外部有識者の意見を聴くための組織を設置すべき」との答申に基づき国立学校設置法が改正されたものであり、運営諮問会議の助言・勧告については、重く受け止め対応していきたい旨の回答がありました。
 続いて各委員から、広島大学の現状及び「二十一世紀の広島大学像マスタープラン」について、様々な意見が出されました。(下段参照)

おわりに

 最後に、原田学長から、本日の審議に対する謝辞とともに、出された意見については、学内で検討し、できるだけ実行していきたい旨の発言がありました。
 続いて、井内会長から、本日の討議内容については、各委員の了承を得た上で大学の内外に公表したい旨、また次回は、本日出された意見を踏まえ、大学側から諮問事項が示されると思うので、それに沿って議論を進めたい旨の発言があり、了承されました。
 この運営諮問会議は、今年度内に更に一〜二回開催される予定で、次回は開催日を委員と調整の上、東広島キャンパスで開催される予定です。
(総務部総務課)


 各委員から出された意見等は次のとおりです。(以下、抜粋)

一 広島大学が目指すべき方向
●将来構想は大変立派であり、しっかりその線に従って頑張ってほしいが、他大学と同じ様な「構想」にみえることが問題である。
●「平和」という言葉が非常にたくさん出てきているが、本当の特徴は何なのか、広島大学の特色が見えない。
●スタンフォード大学等が持つ、産学連携の特色も参考にすべきである。
二 教育・研究活動の活性化
●教育学部と学校教育学部を統合して教育学部に改組されたが、期待しているので改組の理念というもののメリットを生かし「教育」を充実してほしい。
●中教審で才能教育が打ち出されたが、実際あまり実現されていない一番の障害は、高校・大学の教育が取り組もうとしないことであり、広島大学では早期入学等才能教育の取り組みをしてほしい。
●昔の中学校・女学校では、教員が子供の才能を見抜く能力・技術があり、それを生き甲斐としていたが、近年は見受けられないようなので才能を見い出す能力を備えた教員を育ててほしい。
●県内の公立学校は国公立大学への進学率が低いので、中学・高校においても改革案を検討中であり、広島大学の改革にも期待しながら、我々からも注文をしていきたい。
●東広島市に小・中・高の一貫教育が行われる学校が設置される予定であり、その際は広島大学の指導・協力をお願いしたい。また、併せて高校との連携も積極的にやってほしい。
●人間の基本的な教養については、新制大学になって非常に影が薄くなったように思えるので、教養教育は欧米型を取り入れて充実させ、「人間的に幅が広くて深い教養」を育ててほしい。
●目的意識を持って入学し、授業に対しても真剣に取り組む社会人の入学については、一般学生に対して良い影響を与える。教える側も緊張感を持ち、大学全体の活性化につながるので積極的に実施してほしい。
  ただし、一般学生と違った選抜方法(論文・面接)としてほしい。
●一芸に長けた者を面接等で入学させる等徹底的に個性化し、広島大学を選ぶ学生の理由付けを明確にすることが大学が生き残れる条件ではないか。
●自己点検評価については着々とされているが、実際に大切なのは、教員が素晴らしい教育者として、楽しく力の付く授業を展開することだと思う。そのため、広島大学の誇る教科教育学の先生を活用すべきである。
●学部と大学院が日本のように密着すると、同じ学生を教授が長期間みることになり、お互いの長所・短所が判ってしまうので、教育的に理想の形としては、他大学の学部から大学院へ多くとる等、学部と大学院は、連続性がない方が良い。
●大学院の重点化のみを目標にしていくと必ずしもいいかどうか疑問であり、大学院の重点化は教育研究にプラスになるように進めるべきである。
●二十一世紀に向けての教育理念、学問構造等の新しい開拓が必要であり、そのため、とりあえず、まず、教育系・文学系・社会科学系等の広島大学独自の研究科を早急に検討すべきである。
●女性の教員、外国人教員を何年計画で何%まで採用するか、具体的に明示することが大事である。
三 地域社会・国際社会との共存
●知恵の固まりである大学教員が積極的に社会に出て、国民とともに悩むという姿勢が非常に重要であり、そのために学長には、民間との橋渡しをお願いしたい。
●この件については広島大学に行けば良いというような新しい「ビジネスプラン」が広島大学から出てきたら非常に具体的な特徴を出せるようになる。
●外国の大学との国際交流協定の締結先については、内容充実のため、いま一度、見直すことが必要ではないか。
●アジア、太平洋地域及び中国・四国地区における広島大学の位置づけと役割を、一層明確にすべきである。
●広島県の特色として、永い移民の歴史を考慮し、ハワイやアルゼンチン・ブラジル・ペルー等の留学生(三世・四世)を積極的に受け入れることが、広島大学の一つの特色となろう。
●スタンフォード大学では、TLO(技術移転機関)のオフィスだけで二十二人のスタッフが独立採算で働いており、広島大学も民間から色々な相談に乗ってもらうよう、TLOの整備に取り組むべきである。
●大学教員の素晴らしいアイディア、知恵をいかに国民の力の中に繋いでいくかという事が、今まで大学に一番欠けていた点だと思う。
四 組織運営方法の改善
●経営・財政問題については、諸々の規制緩和や税制に関する研究も非常に重要であり、その成果をもって、文部省等関係機関へ規制緩和を要望すべきである。
●学長の下に色々な改革のための組織が整備されているが、独立行政法人化に備え、さらに学長直轄の企画参謀の組織を充実すべである。
●大学間競争の中で、生き残りを賭けているという教官の意識改革が必要である。
●教官に定員削減数計画を示し、危機感を与えるべきである。
●独立行政法人化を睨み、諸外国の大学の現状を調査・比較し、経営上手になる必要がある。
●独立行政法人化は、捉え方によれば、責任は重たいが、自主性を発揮できる千載一偶のチャンスだという受け止め方もあるのではないか。

広島大学運営諮問会議委員名簿(五十音順・敬称略)

氏 名 現   職
麻生  誠 放送大学副学長
井内 慶次郎 財団法人 日本視聴覚教育協会会長
今中  亘 株式会社 中国新聞社代表取締役社長
内田 信正 広島県高等学校長協会副会長
佐竹  覚 株式会社 佐竹製作所代表
椎木 タカ 弁護士
武田 建 学校法人 関西学院理事長
民秋 史也 株式会社 モルテン社長
平田 嘉三 広島県教育委員会委員長
水野 博之 広島県産業科学技術研究所長
 




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