世界の大学シリーズ55

ヨーク大学 カナダ




ヨーク大学の中央口からキャンパスを望む

1996年当時の研究室のメンバー
(左から2人目が著者,右から2人目がSaleuddin教授)


学生の憩いの場となるスチューデントスクエア

ヨーク大学の学章
TENTANDA VIAとはラテン語で「挑戦されるべき道」を意味する


キャンパスの中心,ロスビルディング(高層ビル)とセントラルスクエア(低層ビル)

学位記授与式。黒いガウンをまとった卒業生は,一人ずつ壇上で赤いローブと学位記を授与される

  キャンパスで見かけるハイイロリス

キャンパスに隣接するブラッククリークパイオニアビレッジではカナダ開拓時代の生活が再現・保存されている

 北米五大湖のひとつ,オンタリオ湖北岸に面したカナダ有数の商業都市トロントといえば,大リーグ通ならかつてワールドシリーズ2連覇を成し遂げたトロント・ブルージェイズ,大学通(?)ならトロント大学が頭に浮かぶだろう。しかし,今回は,トロントの北西に位置するノースヨーク市(現在は合併により大トロント市の一部となっている)にあるヨーク大学を紹介したい。
 ヨーク大学は1959年にトロント大学の姉妹校としてオンタリオ州政府によって設立された。その当時は,トロント大学の近くに設置されたようだが,1965年に独立,現在は,ノースヨーク市のメインキャンパスと東に約10km離れたグレンドンキャンパスの2つに分かれている(本学が創立50周年を祝った昨年は,ヨーク大学では創立40周年に当たっていた)。毎年,全体で約7,600人の学生がこの大学を卒業していく。トロント大学がダウンタウンの中心にあるのに対しヨーク大学は郊外にあるため,広島大学のように緑豊かな広いキャンパスを持っている。キャンパス内の至る所でリスを見かけることができ,夜遅く帰宅するときなどには下水口からこちらをうかがっているアライグマと目が合ったりもした。
 私が1995年から96年にかけて,文部省在外研究員としてお世話になったのは,生物学科のA.S.M. Saleuddin教授の研究室で,淡水産の巻き貝を使って生理学・内分泌学的研究を行っている。カナダは移民の国だけあって,教授の研究室だけでもバングラデシュ,リビア,トルコなど多くの国から学生や研究者が集まっていた。彼らの言動はやはりそれぞれのお国柄を反映していて,話していて楽しかった。私にとってヨーク大学で過ごした10カ月は,単に論文や学会発表といった研究成果だけでなく,交友関係や自分の視野の広がりといった面を含めて,とても有意義な期間であったと思う。今後ともSaleuddin教授との国際共同研究が発展することを願っている。
大学院理学研究科 情報生理学研究室 森下 文浩

 

 

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