編集後記
本号の特集は、「生涯学習の新たな可能性」です。
十八歳プラスアルファで大学に入学し、二十二歳プラスベータで大学を卒業して、企業や官庁等々に就職する。そんなワンパターンのライフスタイルは時代遅れのものとなりつつあるのではないでしょうか。これからの時代、すなわち、二十一世紀には、働く必要のある時にしっかり働き、学びたい時に思う存分に学ぶ。あるいは、社会で活躍しながら、同時に専門知識を身につけてキャリアアップを目指す。そんな多様で柔軟な生き方が、ごく当たり前になるのではないでしょうか。「生涯学習時代」の到来です。
広島大学では、すでに数多くの人たちが、そんな生き方を先取りしています。周知のように、東千田キャンパスには、法学部と経済学部に「夜間主コース」があって、働きながら学ぶ人々に学びの場を提供しています。この春には、やはり東千田キャンパスに、大学院社会科学研究科マネジメント専攻が設置され、「夜間大学院」として注目を集めました。さらに、広島大学の多くの学部・大学院には「社会人特別選抜」という制度があって、年齢はもとより知的関心やバックグラウンドの多様な人々に門戸を開放しています。このような取り組みの一環として、今秋から、おおむね六十歳以上の人々を対象とする「フェニックス入試」が開始されました。とりあえず大学院の入試から開始されましたが、来春には学部でもフェニックス入試が行われます。
本特集では、「生涯学習時代」を先取りしている皆さんに、入学の動機や目的、大学で学んだこと、経験したことを率直に語ってもらいました。中には、入学してほんの一カ月という「新入生」もいるわけですが、その初々しい語り口に「学びの原点」を見て、思わず襟を正したのは筆者だけではないでしょう。生涯学習時代に向けて、われわれ構成員一人ひとりの意識改革が求められていることを痛感しています。
(第32期広報委員会委員長 成定 薫)
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