フェニックス入学して


大学院生物圏科学研究科生物機能科学専攻
藤川 律子
 入学して半月が経ちましたが、学内のことはもちろん自分の位置さえ、まだはっきりわかりません。時間だけがどんどん過ぎていき、不安がないと言えばウソになります。授業も始まり、講義のなかで自分が当たり前としてやっている家事などがきちんと学問的に体系づけられ、研究されていることを知り、生活が学問の対象となり、研究材料となっているのだと思うと、楽しく誇らしい気分にもなります。動物にしても、動物は人間を研究材料にはしませんが、人は動物を研究材料にし、人のために有益な動物を生産し、さらに、その行動によって動物の心の中まで知ろうとしています。植物についても同じ様なことが言えると思います。この様なことは、私の興味ある遺伝子とは別の意味で面白いと思います。
 小学生の頃、キュリー夫人の伝記を読んで感動し、「今に私も」と思っていたのもついこの間のような気がします。そして、回り道をしていろいろ別の体験、経験をし、その間に多くの人に出会い、やっと角を曲がって立ち止まってみると、「フェニックス入学」という制度が私を待っていてくれました。good timing、挑戦だ! でも、今の私の興味は「遺伝子」へと移ってきました。でも、私には遺伝子というものが一体どの様なもので、それがどういう役割をし、人や生物、そして環境に対してどのように係わっているのか全く分かりません。「知りたい」、そういう気持ちが私の心の中でだんだん膨らんできました。
 大学を卒業して三十数年、世の中はめまぐるしく変わり、学問も多岐に渡って素晴らしく進歩し、浦島太郎ならぬ、浦島花子になってしまい、能力的にも体力的にも、とてもついてはいけないでしょうが、ここは気合いを入れて頑張るのみです。しかし、気合いは入っていても、これからやっていこうとすることに何の知識もなく不安はあります。「フェニックス入学」という制度をもうけて大学の門を大きく開けて下さった原田学長および関係者の皆様に感謝し、私を快く受け入れて下さった江坂先生、そして研究室の皆さんにお礼を言います。そして、私を応援してくれる家族にも「ありがとう」と言いたいと思います。学ぶことができる時に学び、有意義な人生を送れることは幸せです。皆さんよろしくお願いします。


入学式にて、指導教官(江坂先生)と共に
 
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