工 学 部


自己の確立を!

工学部長 佐々木 博司


 卒業・修了おめでとうございます。卒業生の約三○%、及び前期課程修了生の大部分の人は技術者として門出の時を迎えたわけです。曲がりなりにもバラ色の未来を描けた時代とは異なり、今やどこを見回しても景気の良い話は見あたらず、檄を飛ばすような形で諸君を送り出すことができないのは残念です。
 しかし、社会全体が停滞気味の時にこそ人類の英知が必要です。これも他の誰かから出てくる性質のものではなく、諸君一人ひとりの努力から生じるものです。まず、社会人として自分の職務をしっかり果たすことが重要で、そのためには技術者としての実力を高める必要があります。特に、技術者にとって常に勉強することが大切ですし、努力すれば必ず報われるものです。私の大学卒業時に恩師の一人が「諸君、毎日専門書を三十分でよいから読みなさい。十年もすると随分の差が生じるから」と言われました。私がその通りに行動したかどうかは別にして、大いに参考になる話ですし、事実その通りだと思います。特に、仕事に直接関連あるかどうかを問わず、近い分野の学会には必ず入っていただきたいと思います。
 社会に出てからの生活は順調にいくこともあれば、何をしてもうまくいかないこともあるでしょう。母校は皆さんの心の故郷と言っても過言ではありません。折に触れて、なるべく顔を出すようにしてください。仕事上の参考になることもあれば、心の安らぎを得る場所ともなるでしょう。
 立派な社会人となるべく、志を高く持って、新生活をスタートさせてください。


 

「旅」

工業化学専攻 勝 宣賢


 六年間という長くもあり、また短くもあった大学生活を振り返ってみますと自分というものを探す旅のようであったと思います。自分はどういう性格なのか。自分は何がしたいのか。それら自分の中の「?」に一つ一つ答えを探していった六年間でした。特に高分子化学研究室での三年間は自分の将来を決定するうえで重要な三年間であったと思います。社会に出ましても旅はまだ続いていきます。

研究室での遠足(筆者上から2列、左から5列目)


 

「将来の自分」

構造工学専攻 吉積 俊浩


 大学生活で自分はいろんな意味で成長しました。いろんな仲間に出会い、ばかなことをやってきました。しかし、学生という身分ももう終わり。一社会人としての出発を迎えます。みんな学校では同じことを学んできましたが、これから進む道は皆さん違うでしょう。自分の専門を生かす人。新しいことに挑戦する人。どんな形でもかまいません。みんな人生に悔いを残さないようにがんばりましょう。人は時間が経つごとに成長し変わっていきます。将来の自分。これを常に考え頑張っていきたいと思います。

研究室にて(左から北園、西野、山本、吉積)


 

「振り返ってみると」

設計工学専攻 清水 一寿


 この原稿の依頼を受け六年間を振り返ってみました。そうすると「あの時こうしておけば」とか、「あれもやってないなぁ」とか思うことがいくつも浮かんできます。この先もずっとそうなのでしょう。でも、そう思うことがあるから「この次はどうにかしよう」という気になります。だから「この次は…」という気になるために、「あの時…」などと思うことも大切にしていきたいです。最後に、お世話になった友人たち、先輩方、そして御指導いただいた先生方に感謝します。

ゼミ旅行にて


 

「学生生活で得たもの」

情報工学専攻 村上  満


 長い大学生活で一番自分を変えた出来事は、オリエンテーションキャンプの班長をしたことと、企画サークルを作ったことです。この二つの活動を通して、ゼロから集団をつくることの難しさ、自分たちの企画したことを実現させることの楽しさを知りました。そして、「自分に対する自信」と「何にでも挑戦する積極性」を得ることができ、その後の学生生活が大きく変わりました。勉強ももちろん大事ですが、それ以上に大事なことを発見できたと思います。

オリエンテーションキャンプのフェロー(筆者左から3人目)


 



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