生物生産学部


門出を祝う

生物生産学部長 宮澤 啓輔


 卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。新たな世界、時代に向けての出発を心からお祝い申し上げます。
 現在、世界は環境保全と食糧確保を緊急の課題としております。皆さんは、生物の生産力と多様な機能を利用・開発して、食糧を始めとする有用物質を生産し、豊かな地球環境の保全に努め、人類の福祉に貢献するという理念のもとに学問を修めました。学問の本質に触れ、その基礎を身につけたことと思います。皆さんが学んだことは皆さんの専門であり、これをよりどころとして活動してゆくことになると思います。これからの皆さんの任務は重要です。時代の流れは急速ですが、自信をもって自分を鍛え、社会に貢献して下さい。また絶えず心身ともリフレッシュし、充実した人生を送られんことを願います。
 先人の言葉を贈ります。「志、恒、識」。志、すなわち何か目標をもって下さい。恒、その目標に向かって恒に精進し、各自の専門性を磨いて下さい。識、その上で広い視野、見識を持つように努めて下さい。  皆さんの今後の活躍と健康を祈ります。

 

チューター長を務めて

平成九年度入学生チューター長 植松 一眞


 たまたまチューター長になったことで、オリキャン・教養ゼミ・コース紹介・分属説明会を通じて、皆さんの世話をさせていただきました。ただし、オリキャンも教養ゼミも、どうも苦手でしたので、学生諸君には申し訳なく思います。でも、学生諸君と顔見知りになれたことは良かったと思います。
コース分属の時には、単位不足で対象からはずれた学生の成績を、学生の申し出により調べたところ、成績のつけ間違いで実はちゃんと単位が取れていることが分かりました。これには驚くと同時に、いい加減さに呆れました。進級できて、良かったです。
 今、入学時の皆さんのあどけない顔の写真と現在の顔を見比べると、この四年間の皆さんの成長ぶりがうかがえます。おそらく精神的にも肉体的にもたくましくなり、実力を身に付けられたものと思います。今後の雄飛を祈ります。喜ばしいときはもちろん、困ったときにも訪ねてきてください。できるだけの協力をいたします。

平成9年度入学生オリキャンにて
 

 

大学は経験の宝庫

生物圏科学研究科修士課程二年(家畜管理学研究室) 古賀 裕香里


 大学時代、私の好奇心の扉は、常に開けっ放しにしておきました。周囲の流れに乗っていくことしかできなかった中高時代とは違って、大学は、自分次第で新しい発見をし何事にも挑戦することができる、大変貴重な時代でした。中でも、数年前のブームだった「海外個人旅行」に魅せられ、今しかない! と二度も海外へ一人旅をしたことは、大学生活の象徴となるに違いありません。
 研究で、養豚現場の観察を行ったのですが、この体験には、驚きと感動でいっぱいでした。特に印象深かったのは、経営者の方が、「一生ここで過ごす動物の身になって環境を考えることが大切。愛情を尽くせばそれだけ、飼い主に応えてくれる」とおっしゃったことです。私は、畜産科学コースに入って様々なことを学びましたが、畜産人としての心構えを肌で実感したのは、あれが初めてでした。養豚場で学んだことを含め、大学時代を通して経験したことは、将来、必ず役に立つと信じています。これまで出会った多くの方々、本当にありがとうございました。

ミニブタとともに
 

 

大学生活を振り返って

生物生産学部四年(水族生理学研究室) 立町 由紀


 私にとり大学生活は初めて真剣に自分の人生に向き合った時期だと思います。その中で、一番大きなことは、交換留学プログラムへの挑戦です。前例がなく、留学が実現するまでに多くの問題があり、何度もくじけそうになりました。意志と行動力が試され、多くのことを学びました。
 一つは、自分が強い意志を持って努力を続ければ、必ず夢は実現するということ、自分にはその力があるということです。二つ目は、初めて、日本という国を母国として意識し、日本文化を認識したことです。そして三つ目は、本当にいい人間関係に恵まれたということです。留学の実現も、チューターの先生をはじめ、事務の方々の協力なくしては、有り得なかったことです。
 そして、いつも励ましてくれた友人や家族は、私にとって力の元でした。社会に出ると、私の周りはより複雑になるに違いありませんが、大学時代に得たすべてが、その厳しさに立ち向う力の糧になってくれることを願っています。四年間をすばらしい友人たちと楽しく過ごせたことを、とても幸せに感じています。

帰国直前に友人たちと軽く一杯(筆者左)
 

 



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