大学院国際協力研究科長 中山 修一 新世紀を迎えた記念すべき年に、IDECから博士課程前期を修了する皆さん、また、同後期課程を修了し、めでたく博士の学位を授与された皆さんに、心からおめでとうを贈ります。 二○○○年十月、IDECは留学生が全学生の五十%をこえ、新設六年目にして目標をついに達成しました。皆さんの国際協力研究科は、「世界の平和の創造と繁栄に向かって果敢にチャレンジし、専門知識だけでなく複雑な事象に対応できる総合的判断能力を備え、対象地域の社会・文化の特質をより深く理解し、人々の生活の質的向上に貢献できる知力を備えた人材養成」という大きな目標をもっています。 一方、国際社会は新世紀を迎え、経済のグローバル化に一段と弾みがつき、限られた国や地域は、ますます繁栄の道を進むでしょうが、他方で発展から取り残され、苦しい思いに耐えねばならない国や地域も依然として残りつづけることでしょう。二十一世紀に生きるわれわれは、経済、社会、文化の悪条件に邪魔され、不運にも発展から取り残された国や地域の人々の苦しみに、いかに深く関心をもてるかが問われています。 IDECで学んだ皆さんには、在学中に他の研究科では経験できないほどの多くの留学生と友好の輪が築かれ、異なる文化に育ち、異なる考え方、感じ方をする人々の中で、他文化の深い理解と交流が、いかに難しいものかを実感できたことでしょう。それは実に貴重な体験であったと確信します。 修了生の皆さんは、これからの人生で多くの異なる文化に出会うに違いありません。その時、異なる文化の友人に心を開き、ともに悩み、考え、そして喜ぶことができるはずです。それこそ、IDECに学んだ皆さんのみが、自然体で味わえる特権だと思います。皆さんの人生に栄光を。 |
教育文化専攻博士課程前期 高田 友美 夜の静けさは、私に活力とたくましい想像力を与えてくれる。そして、もう慣れてしまった一人ぼっちの夜の研究室で、二年の月日に思いをはせた。 本当に濃厚な時間だった。田舎から出てきた「家出娘」同然だった私にとって、この二年間ほど重いものはない。優れた知との出会いのみならず、研究を通じてのアフリカとの出会い、そしていくつかの忘れられない人との出会いと別れを経験し、それらがまた新しい自分を発見させた。振りかえってみると、数々の出会いが相当な重量感を伴って今の私を凝視しているような感覚にとらわれる。 春になれば、ここから見える景色とも別れ、また新しい生活を始めるのだろう。そして、またいくつかの忘れられない経験をするのだろう。でも、これまでのように心から泣いたり笑ったりできるだろうか。 そんなことを考えながらふと外を見ると、もう空が白みはじめていた。また新しい今日が始まる。
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開発科学専攻博士課程前期 山崎 純 サッカーJリーグの鹿島アントラーズ社長のコラムだったか、ジーコが口を酸っぱくしていっていた言葉が紹介されていた。「チャンスは必ず来る。いつ来てもつかめるように備えておくのが本当のプロだ」と。またジーコはこうも言っていたという。「自分と同じ位の才能の選手は、ブラジルにはごまんといた。ただ私は自分で自分を磨くすべを知っていた」と。 さて、僕はというと、残念ながら、自分で自分を磨くすべがわからなかったし、チャンスがいつ来てもよいように備えることも出来なかった。ただ社会の全員がジーコになっては社会は成り立たないと思う。これらの言葉は、常に目標なりを意識して、一生懸命努力することが大事だ、ということだと思う。それでもジーコのようなスターになれない者でも、彼らの脇を固める、地に足のついた実力をもった人物になれると思う。とは思うものの実際に、僕はこの二年間でこのように努力することはあまり出来なかったのであり、説得力はまるでない。しかし、この二年間が無駄だったとは思わない。周囲の方々の叱責もあり、僕も多少の努力はしたと思うし、この二年間でしか経験できない経験もしたと思う。今後にそれらを生かして行きたいと思うと同時に、僕の怠惰な研究態度にもめげずに、指導してくださった諸先生方に感謝したい。
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