知識から智恵へ 理学部長・理学研究科長 松浦 博厚 卒業、修了おめでとうございます。皆さんは、理学部・理学研究科でどのような収穫を得ましたか。これからは、大学で学んだことを社会のために役立たせることが仕事となります。理学部・理学研究科では、科学的な方法により様々な事象を論理的にとらえ、それらの考察の中から新たな現象や法則性を発見することを目指して教育・研究を行いました。その中で皆さんが得た知識は、それぞれの学問分野に関する個別的なものであるかもしれません。大事なことは、これらの「知識」から「智恵」を作り上げることなのです。智恵とは、単に学問や知識を積み重ねただけのものではなく、真実を知り、物の本性を理解する能力であり、また、知識を正しく使用できる実践的な叡智であります。皆さんが大学で学んだ知識や技術は智恵・叡智となり、そこから新たな創造が生まれてくるのです。 二十世紀においては科学技術が急速に進展し、私たちの生活環境が大きく変わりました。いま幕を開けた二十一世紀は、人類にとってどのような時代になるのでしょうか。これまでの科学技術がさらに加速度的に発展し続けるのでしょうか。あまりに急な発展は、すでにいろいろな問題を引き起こしています。私たちは、これまでに蓄積した知識をそのまま高度化するのではなく、それを正しく使うための智恵をしぼることが大事になってくると思います。皆さんは大学で、専門的な学問のほかにいろいろなことを学びました。人と人のつながりの大切さ、人生の楽しみ方、また自然との付き合い方など、これらはすべて新たな智恵を組み立てていくときに生かされてくるのです。皆さんが大学時代・大学院時代に学んだことは、いつの日か、目に見える形で、あるいは目には見えない形で、社会のために役立つはずです。若い皆さんがもっている可能性に期待しています。 知識から智恵へ。得意とする分野で力を発揮してください。 |
貴重な経験に感謝 理学研究科数学専攻博士課程前期二年 佐藤 亜香里
大学生活も、早六年。やっと修了です。大学院からは、自分で問題を見つけ、新しいことや既存の理論の拡張、改良を提案することが望まれました。私の専門である統計学の目的の一つとして、現実のランダム性を含むデータからのその背後に潜む真の構造の探索、より簡潔なデータの要約が挙げられます。私は、経時データに対してより真の構造に近いものを探索し、その良さを訴えることに取り組みました。パソコンとも悪戦苦闘です。 毎年秋のゼミでのキャンプでは、先生と学生が一緒にバーベキューやゲームをして楽しく過ごしました。今年は、サイクリング中に豪雨に遭ってしまい、皆、びしょ濡れ…。これも良い思い出です。 就職は、統計学を生かせる仕事に決まっています。幸運にも今まで研究したことが生かせます。 学会など、学外で発表する機会にも恵まれました。他大学の先生や院生とも交流でき、研究の第一戦を少し覗くこともできました。いつも、ギリギリになって慌てて準備する私に、いろいろと助言をくださった先生、先輩に感謝いたします。そして今もインドでの国際会議の準備に追われています…。いろんな意味での無事を祈りつつ、出発します。
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私の大学生活 理学部物理学科四年 佐藤 葉子
私の四年間もの大学生活は、四年間もありながらサークル活動に集約されます。たかがサークル活動であるはずでしたが、四年も同じ組織にどっぷり浸かっていると、いろんな人間関係を見、経験したし、後輩から先輩までの全ての立場というものも経験することになりました。私がそこからどれだけ吸収し得たかどうかわからないけれど、この四年間で私を成長させた(成長したと信じたい)ものはサークルです。卒業しようとしている今、サークル活動で何が得られたかということよりも優しく頼もしかった先輩のこと、そして後輩を素直な気持ちでとても愛おしく思える自分がとても幸せだと思います。大学生活で自分の居場所だと思える所を作れたのかもしれません。 将来やりたいことを見つける、そのつもりで大学に入りました。これだ! というものではないけれど、今は目指すものができ、新たな生活に希望を持っています。目的を果たし、人間関係も充実した、満足の大学生活でした。
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