世界の大学シリーズ56

インド科学大学 インド




インド科学大学のメインビルディング

冶金系の前で 筆者(右から5人目)と研究室のメンバー一同

動力系

数学系

機械系

 インド南部にあるカルナータカ(Karnataka)州は湿潤熱帯に属し,年3000_を超える降水量が西南モンスーンによってもたらされる。最も穏やかな気候条件がある州都バンガロール市(人口800万人)はインドにおける科学研究機関,航空機,機械,計算機ソフトなどの産業が立地している。インド科学大学(Indian Institute of Science)はその中の一つでよく知られている。
 インド科学大学はインドの工業界先駆者J.N.Tata氏の首唱とロンドン王立協会の助言により1909年に創立された。著名なラマン効果を発見し,ノーベル物理学賞を獲得したC.V.Raman氏は1933〜1937年にこの大学の学長を務めていた。現在,約40の系・研究センターにおいて2000人以上の研究者たちが先端科学技術研究について活発な研究を行っている。1.6平方キロメートルのキャンパスは,古木,花香,鳥語がつねに充満している。この大学の一つの特徴は学生が修士・博士の院生しかいないことである。院生,留学生,外国人客員研究員たちは専任教官と一緒に学術の舞台で活躍している。英語が研究用の標準語なので,研究発表をしたり外国人と交流したりするのは非常に便利である。各研究分野で国際的活躍をしている学者が数多く,ジャーナルのエディターを担当している方は100人以上いるそうである。毎年,外国学者の来校交流・短期滞在研究のプロジェクト助成がたくさんある。筆者は1995年,招待に応じてこの大学で開催された国際会議に出席し,1996年12月から再び共同研究の機会を頂いて,同校の冶金系に4カ月滞在した。その間,冶金系で主催した国際会議が3回行われ,冶金系でも外来者の講演会は週2,3回あった。先進国には低レベルの大学も少なくないが,途上国にも一流の大学があると感嘆した。
 インド科学大学のホームページ http://www.iisc.ernet.in/ 
新エネルギー・産業技術総合開発機構研究員(工学部在勤) 潘 進(パン・ジン)

 

 

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