編集後記


 新世紀最初の『広大フォーラム』をお届けします。特集は、「卒業生・修了生を送る」と「退職者は語る」の二本立てです。
 この時期、身近な学生・院生諸君が卒業・修了して、新しい世界へ向けて旅立とうしているのを見て、あるいは長年親しくさせていただいた先輩諸氏が、定年を迎えて退職の準備をされているのを見て、感慨にふける方々も多いことでしょう。
 若かりし頃の筆者は、退職記念パーティーなどで、「先生は、何十年もの間、広島大学に勤務され……」といった挨拶を聞くたびに、不遜にも心の中で、「そんなに長い間、同じ大学に務めるなんて退屈だろうな」などと考えたものでした。しかし、歳月が流れて、自分自身の在職年数が二桁になった頃、同じ職場で何十年も働く、働かせてもらえることが、どんなに大変なことか、また、有り難いことか、ということが遅まきながら分かるようになりました。在職中にぶつかる多くの困難や壁を、周囲の人々の助けを借りつつ、何とか乗り越えてこそ、定年を迎えることができるのですから。愚鈍な筆者にも、「縁」とか「出会い」といった言葉のもつ重みが少しは実感できるようになったと言えるかもしれません。そして、心身ともに健康で定年を迎えることが、どんなに幸せなことかも分かる年齢になりました。「退職者は語る」にご寄稿下さった方々のご健康とさらなるご発展を心より祈らずにおれません。
 かくいう筆者は、在職して早くも四半世紀(!)、定年まで後十年です。健康に留意して、果たすべき仕事をきちんと果たし、元気に定年を迎えたいものだ、と願っています。
(第32期広報委員会委員長 成定 薫)


 
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