お世話になりました
嶋 田 拓
(しまだ ひらく) 大学院理学研究科附属両生類研究施設
〈部局歴〉
昭和40・6 (東京大学)
63・6 理学部
平成12・4 大学院理学研究科
十三年前にどんな大学かと落ち着かない気分で赴任してきてからあっという間に時が経ってしまい定年を迎えることになりました。この間に大勢の若い人たちが私の研究室を通り過ぎていき、彼らとの交流を通じて教師の醍醐味を味わうことができました。動物の形作りのしくみの面白さを一緒に楽しめたと勝手に喜んでいます。動物の形作りに働く遺伝子は無脊椎動物から脊椎動物までほとんど同じで、形作りの遺伝子の歴史の古さを示しています。これらの遺伝子はおそらく六億年以上前に形成されたと考えられ、進化の不思議さを思うとともに、出現していくらもないホモサピエンスが動物進化の頂点とうぬぼれ、ごたごたしているのがむなしく感じられます。私自身の研究成果を問われると忸怩たるものがありますが、優秀な若い人たちがさらに発展させてくれることを願っていますし、大学が、このような"役に立たない"研究にも場を提供してくれるところであり続けることを願っています。
本当に楽しい大学生活を過ごさせていただきました。お世話になりました。さようなら。
研究室にて(平成12年12月)
広大フォーラム32期5号
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