大学で得られたものは
山 本 昇 荘
(やまもと しょうそう) 医学部皮膚科学講座
〈部局歴〉
昭和45・4 医学部附属病院
49・4 医学部
55・4 (島根医科大学)
57・6 医学部
昭和五十七年に医学部皮膚科学講座を担当することになってからおよそ十九年間、文字通り「アッ」という間の出来事であったような気がしています。退官ともなると、その後の生活に思いをめぐらすのが普通かもしれませんが、とても未だにその暇を与えてはもらえません。
大学において日常、私どもに課された主な義務が教育・研究・診療であることはいうまでもありませんが、はたして自分が納得いく仕事ができたかどうか、その思いが募ってきます。人生の主な仕事の区切りにあたって幸せ感があるとすれば、直接には健康を回復した患者さんの笑顔や自分たちの教育・研究にプラス評価が与えられた時の充実感でしょうが、それにも増して、国内・海外で何人かの心から信頼と尊敬できる友人、己を考えさせてくれた人生の師匠に出会えたことでしょう。
大学が厳しい時代に突入することは疑いないところでしょうが、いかなる時代であれ、信頼と尊敬の基盤に根ざした改革でなければ真の改革、幸せを感じる職場にはならないでしょう。
第49回日本アレルギー学会総会会長講演
広大フォーラム32期5号
目次に戻る