この春、退職を前にして
中 野 愛 子
(なかの あいこ) 歯学部附属歯科衛生士学校
〈部局歴〉
昭和36・4 (公立病院)
43・4 歯学部附属病院
51・4 歯学部附属歯科衛生士学校
顧みますと、免許を受けてから四十年、そのうち十四年を国公立病院で臨床に、本校では後輩の教育・養成に携わったわけですが、本校に専任講師として就任の当初は私を教導する先達もなく、歯科衛生士教育はいかにあるべきかという命題について自問自答を繰り返し、暗闇に手探りの中に懸命に蠢く毎日でした。そして私なりに歯科衛生士誕生の由来、社会の要請する歯科衛生士とは、医療の本質とその成立、歯科衛生士の役割と業務、勤務の実態から派生する諸問題についての考察により、自己のおかれる立場からの責任を明確に認識させることに重点をおき、理論に基づいての指導に力を注ぎ体得を図るとともに、これを手堅く実践させることに努めて参りました。
何はともあれ、私にとっては良くも悪くもまた、長くも短くもあった年月でした。その間、皆様よりいただいたご厚誼により、私の本校での二十五年にわたる生活を生き甲斐のあったものとし、心を残すことなく去ることができますことは感謝のほかありません。
最後に、皆様が今後とも末永くご健勝でますますのご発展ありますようお祈りして、筆を擱きます。
余暇のひととき
広大フォーラム32期5号
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