昭和十二年生まれ

 太 田 安 英(おおた やすひで) 生物生産学部応用生化学講座


〈部局歴〉
 昭和38・4 (東京大学)
   55・4 生物生産学部

 

   
 

 ヒトが集団で生きようとすると、変動期というものが生まれます。自分の生きてきた時代を見渡すと、太平洋戦争(第二次世界大戦)があり、冷戦構造(経済的バブル)の崩壊がありました。昭和十二年生まれは、戦争と戦後処理の中で生育し、崩壊と社会構造のリストラの中で老化しつつあります。途中でデコボコがあったにしても、私の時代は幸運だったと思います。
 昭和三十八年に助手になって三十八年間の大学勤務というのは、最長の部類でしょう。その間三十代の前半に大学紛争がありました。個人的な影響はさておいて、私はこれは「短い氷期」のようなもので、やがてすべての価値基準は旧に復すると確信していました。しかし、今になって考えると、紛争解決に苦労された恩師も示唆されたように、目に見えない人間関係の不文律(もしかしたら二十世紀前半の)が崩壊したようです。これを今の変動期に当てはめると、もっと激しい変化になると思わざるを得ません。


琉球大学での学会にて(平成12年10月)(筆者右)

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