生命の不思議―動物実験

 伊 藤 明 弘(いとう あきひろ) 原爆放射能医学研究所


〈部局歴〉
  昭和42・4 原爆放射能医学研究所
   43・1 原爆放射能医学研究所附属原爆医学標本センター
   45・10 原爆放射能医学研究所
   50・8 (国立がんセンター)
   53・4 原爆放射能医学研究所

 

   
 

 昭和五十四年四月、原医研・放射線誘発癌部門(現・予防腫瘍分野)の教授を拝命して二十二年を経ました。その間、研究に用いたマウス、ラットの数は数千匹を超えています。彼らの協力を得て、放射線や過酸化水素の発がん性、ホルモンによる生体の支配、味噌や大豆成分によるがん予防の研究など多方面に亘り研究成果を発表出来ました。動物を用いた研究は施設、予算、ヒトなどいずれも膨大な経費を必要としますが、その成果には重みがあります。
 がんは私たちの細胞自身がかかるやっかいなやまいです。多くの遺伝子変異がみつかりつつありますが、ある日体のどこかに突然現れ、やがて自爆死する病気です。その生長過程で生体との間に多くのドラマがあり、これらを解析することは計り知れない興味があります。多くの若い研究者諸君よ、是非、動物を直接手にして生体のもつ不思議さに挑戦されてみては!!


ある日の午後:送別会の1コマ(筆者左)

広大フォーラム32期5号 目次に戻る