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第16回 留学生と日本人のつどい
「国際民族舞踊 フェスティバル」 に参加して

工学部第四類建設工学課程4年
ルイス・ダルマワン



 平成12年11月26日,中野サンプラザにおいて,第16回留学生と日本人のつどい「国際民族舞踊フェスティバル」が開催されました。
 当日は,本学をはじめ,富山大学,中国文化大学芸術学院(台湾),マラヤ工科大学(マレイシア),東京外国語大学のタイ舞踊,ネパール・カトマンズ民族舞踊などにより,素晴らしい演技が披露されました。
 本学のメンバーは,留学生13カ国19名,日本人学生2名で構成されていましたが,「東広島さくらの会」会員の皆様の多大なるご協力により,唄・踊り・三味線・太鼓の四つのパートに分かれ,昨年7月より猛練習を行い,本番の舞台で「西条酒造り唄」「米洗い唄」「西条樽踊り」を披露し,観客から喝采・絶賛を浴びました。
 このことは,練習を通じて本当の国際交流が行われたものと思いますし,今後も演技に磨きをかけるべく,引き続き練習に参加すると張り切っている者もおります。
 三味線で頑張ったルイス・ダルマワンさんの練習及び本番での感想文(原文日本語)をご紹介します。
(学生部 留学生課)

中野サンプラザで3曲披露
 私は今、工学部(第四類)に所属しているインドネシアのルイス・ダルマワンと申します。広島大学に来る前に、一年間東京で日本語を学んで、三年間福島工業高等専門学校に通っていました。私は昨年四月に学部三年生に編入学したので、友達は少なかったです。それで、いろいろな友達を作るために、とりあえずどこかのサークルに入らなければいけないと思いました。今は、友達の誘いで「IAHU」というサークルに入っています。「IAHU」とは、国際交友会という意味で、日本人の学生と留学生が話し合ったり、パーティーをしたりするサークルです。
 IAHUに入って一カ月のこと、今年の十一月に東京で「国際民族舞踊フェスティバル二○○○」が開かれるというお知らせがありました。広島大学が招待され、西条の伝統的な唄や踊りを披露するために参加者を募集していました。唄を唄う人を始め、踊る人、三味線を弾く人、太鼓を叩く人、広島大学の学生が披露することになりました。私は他の五人(日本人二人、台湾人二人、ロシア人一人)と一緒に三味線のグループに入りました。ちなみに、全員で二十人ぐらいのメンバーからなりました。
 早速、三味線の練習が始まりました。私にとっても、他の人にとっても、三味線は全く初体験でした。ですから、基本となる三味線の持ち方や弾き方などを先生方に教えていただいて、上手に弾けるかどうかという不安を抱きながらも練習を続けていました。しかし、毎週の練習と先生方の親切な指導のお陰で、一カ月も経たないうちに皆は一曲を弾けるようになりました。三味線を弾くときにはバチを使うのですが、慣れない動きで手が痛んだりすることもありました。また、いい音を出すために、三味線の弦をしっかりと押さえなければいけないので、指に弦の痕跡が残るぐらい痛みを感じました。それでも、誰一人も挫折することなく、互いに励まし合って一生懸命に練習をしました。「この山さえ乗り越えればもう後は楽だ」と言われた通り、夏休みに入る前にはすらすらと三曲を全部弾けるようになりました。

三味線のメンバーで(筆者後列左)
 しかし、三味線には皆のリズムを合わせる必要があります。六人が同時に同じ速さで同じ音を出さなければなりません。夏休みで一カ月ぐらい練習を休んだせいか、曲のリズムが合うまでにはかなりの時間がかかりました。
 東京公演まであと一カ月半となりました。それぞれのグループが集められて、合同練習を行いました。今度は、三味線同士が同じリズムを保った上に他のグループ、例えば、太鼓の人や唄の人とお互いに合わせないといけなくなりました。最初はかなりのズレがありましたが、練習の回数を増やすことによって皆一体となりました。東京公演に行く前に、西条で二、三回ぐらい舞台に立つ機会がありました。「西条酒祭り」や「国民文化祭・ひろしま二○○○」です。
 いよいよ本番のときが来ました。11月26日(日)の午後1時35分、幕が上がった途端に私たちは「西条酒造り唄」、「米洗い唄」、「西条樽踊り」の三曲を続けて披露しました。十分ぐらいの短い演奏でしたけれども、私たちの五カ月分の練習の成果が詰まっていました。皆の努力に先生方の丁寧な指導を加えた結果が見事に中野サンプラザの客席に響いて届けることができました。また、この機会を通じて、皆の間に見えない国際的な絆が生まれ、今日でもすごく仲の良い友達でいることは何よりも一番幸せだと思います。最後に、このような貴重な機会をいただき、先生方や留学生課の皆様に心から感謝を申し上げます。



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