総合科学部
入学おめでとう

総合科学部長 江口 正晃

 二十一世紀の始まりという記念すべき年に本学部へ入学され、喜びと希望に包まれていることでしょう。私は、皆さんの入学を心から祝福するとともに、皆さん方をこれまで育て温かく支えてくださった人々への感謝の気持を忘れないようにしてほしいと願っています。
 さて、最近の情報技術の急速な進歩が経済活動や文化のグローバル化をもたらしているだけでなく、学問諸分野においても新しい研究方法を提供するなど、大学を含め社会はいま大きな変革期に直面しています。また一方で、多くの人類的課題も我々は抱えています。このような中で皆さん方は入学し、学びそして卒業していかれるわけです。
 社会は、調和のとれた人間性を身につけ、直面した問題の本質を総合的かつ的確に判断でき、解決の方向性を見いだせる力を持った人材を大学が育成することを求めています。実は本学部の教育目標も基本的には同じであります。皆さん方がこのことを意識し、「自己発見」を行いながら、本学部で学問の面白さを学び、自らを逞しく鍛え上げて、課題多いこの激動の国際社会で活躍できる人間性豊かな社会人として巣立っていかれることを期待しています。

夢、そして挑戦

総合科学部教授 佐竹 昭
(プログラム委員長)

 皆さん入学おめでとう。皆さんはどんな夢をお持ちでしょうか。大きな志もささやかな希望も、これからの学生生活の中でその第一歩を踏み出せるよう願っています。
 私は日本史の勉強をしていますが、最近当地のある遺跡の調査に関わって、土の中から掘り出された奈良時代の木簡にめぐりあいました。木の札に墨で文字を書き手紙や色々な記録、荷札等に用いたものです。この文字をより鮮明にするために赤外線テレビのほか、現在では赤外線スキャナーを用いて画像処理する試みも始まっています。木簡の用途と材質には関連があり檜なのか杉なのかも気になるところです。遺跡には当時のゴミがたくさん埋められており、もしも寄生虫の卵が見つかればトイレだったかもしれません。花粉を分析すれば当時の周囲の植生が復原できます。土器もその胎土を分析すれば製作地がわかるかもしれません。現在では一つの遺跡を考えるだけでも多くの科学的な分析を積み重ねた総合的な理解が必要ですが、実際はなかなか困難でもあります。
 さて右は私のささやかな、しかしなお実現できない夢なのですが、総合科学部にはもっと大きな夢を持ったさまざまな研究分野の先生方がおられ、皆さんの挑戦を待っています。ぜひ扉をたたいてみてください。

桜の咲く前の入学

総合科学部教務係 森永 雪枝


窓口にて(筆者手前)
 新入生の皆さん総合科学部へようこそ! 東広島キャンパスの印象はいかがですか?
 入学式の日は、一昔前の森進一の歌「襟裳岬」の歌詞「襟裳(西条)の春は何も無い春です」と感じたのではありませんか?
 しかし、広大には、原田学長の提唱で植えられた1111本の桜が元気に育っています。まだ若い木ですが、その木々は、誰も気付かない冬の間に蕾を準備して、今年も皆さんの入学を待って一斉に花を咲かせました。皆さんも桜と同様に、今、入学という花を咲かせたことと思います。これからも、広大の桜に負けないように、一年一年確実に花を咲かせ、かつ、小鳥たちも憩える枝葉を広げた大樹になるよう、この東広島キャンパスで充実した四年間を過ごして欲しいと願っています。
 あなた方若桜の木に肥料を与える役が教官で、水を与える役が私たち事務官ではないかと思っています。桜の木は要求しませんが、皆さんは、この肥料と水を大いに要求し、自分の成長の糧にしてください。総合科学部は、肥料役の教官陣が他の学部と比較して多種多様で、大抵の要求には応えられるはずです。事務も何杯もの水を用意して、窓口を大きく開けて待っています。大学には学ぶために入学した事は明白ですが、もう一つ生涯の友も大学で見つけて欲しいと私は思っています。
 桜の木は1111本。あなたが広大で出会う人は何人?
「求めよ、然らば与えられん」




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