教育学部
真正面に向き合う「学び」の意義とは?

教育学部長 利島 保

 入学おめでとうございます。携帯電話やインターネットの氾濫時代にあって、私が痛感するのは、若者に「見て、見ぬふり」の生活が蔓延していることです。人と人との繋がりを通してお互いの感性を伝え合うことは、人の「神秘性」を学ぶ重要な営みです。ただ、人と人との交わりは、みながみな快を伴うものではありません。「四苦八苦」という言葉の八苦の一つに「怨憎会苦」という言葉があります。その意味は、恨んだり憎んだりしている人とも会い続けることを通らなければ、人の神秘性は学べないということです。この辛さをITで簡単に断つことのできる現代の「学び」とは、人と人が真正面に向き合う機会の中で他人に自己の感性をいかに伝えるかを学ぶことです。教育と学びに関心を持って本学部に入学された新入生の皆さんには、入学を機にできるだけそのような機会を多く持つことを願っております。
自立と自発的な学びを

第一類 石橋 康

 入学おめでとうございます。高校までとは勝手が違い、少々戸惑いを感じている人がいるかもしれません。そう感じるのは、大学では、自立していることを前提に皆さんに対応しているからです。皆さんに望むことはたくさんありますが、人間的な面で自立すること、自発的に勉学に取り組むこと、この二つのことを強く望みます。
博く学びて篤く志す

第二類 上田 夫

 二類への御入学おめでとうございます。出発にあたり、論語の言葉を贈ります。一つのことを深く学ぶ前に、独善や没交渉に陥らないように、若人の特権を生かして広い視野での学びをしてください。そして、その学びの中から、自らが真に志すものを探してほしいのです。単なるもの知りで終わらず、「その志すところを篤く」することによって自らの人生を切り拓いてほしいものです。期待しています。
本音の話

第三類 濱口 脩

 第三類は、日本語という国語にしろ、英語という外国語にしろ、外国語としての日本語にしろ、いずれも言葉に徹底的にこだわります。皆さんの大学生活の成果は、「四年後のあなた」―「現在のあなた」=「これから始まる大学四年間」という等式で表されます。あなたが主役のこの収支決算がどのような値となるか、ワクワクしながら見守っています。
キラリと輝くヒト

第四類 稲水 惇

 記念すべき二十一世紀元年の入学おめでとう。スポーツ、学問、どの世界においても、活躍しているヒトにはキラリと輝きがあって美しい。現在、教育界は多くの問題を抱えており、将来を不安視する声もあるが、悲観することはない。キラリと輝く教員は常に求められ、活躍している。大学での授業、クラブ活動、遊びを通してキラリと輝くヒトを目指してほしい。
広く、深く学ぶ

第五類 深田 博己

 第五類では、教育という営みの根底にあたる人間形成の問題に関して、教育学と心理学の立場から学びます。教育学系コース生は心理学を、心理学系コース生は教育学を積極的に履修し、視野を広げてください。また、大学院へ進学し、少なくとも六年間(学部四年+大学院二年)はそれぞれの学問を学び、深めてください。



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