フライブルク大学
ドイツ連邦共和国









フライブルク行政裁判所。原発設置許可を違法と判
断した1977年のヴュール判決は大きな反響を呼んだ

大学図書館の窓から見た校舎と「黒い森」

自動車の通行が禁止された旧市街を
ゆっくりと進む路面電車

ライナー・ヴァール教授(法学部公法研究所)と筆者(左)。
「黒い森」に懐かれたヴァール教授のお宅に招かれて
 フライブルク大学(正式名称アルベルト・ルートヴィッヒ大学)は,ドイツ,フランス,スイスの三国国境に程近い,ドイツ南西端の地方都市,フライブルク・イム・ブライスガウ(人口約20万人)に位置する。
 壮大な大聖堂を中心とした旧市街の中世的なたたずまい,市街のすぐ東に迫る広大な「黒い森」,近郊で生産される葡萄酒などを求め,多くの旅行者がこの地を訪れる。陽光のあふれる温暖な気候にも恵まれ,ここでの生活はドイツでも憧れの的だという。
 さらに,近年においては,ゴミ処理,交通,省エネなどの様々な分野における先進的な環境政策を実現し,1992年にドイツの環境首都に認定されたことによっても注目を集めている。1970年代初めに持ち上がった近郊への原子力発電所設置計画に対する町ぐるみの反対運動をきっかけとして生まれた,フライブルクの新しい一面である。
 この地に大学が設立されたのは1457年,19世紀初頭まで400年以上続いたハプスブルク家統治時代のことである。ヨーロッパの由緒ある大学の多くがそうであるように,神学,法学,医学,哲学の4学部で始まったこの大学は,バーデン大公国時代の廃止の危機を乗り越え,今日では,15学部,学生数2万3000人以上を数える有力な総合大学として知られている。旧市街のあちこちに分散した大学の建物や学生の姿は,町によく溶け込み,活気がありつつも時間がゆっくり流れているようなこの町の独特の雰囲気に欠かせない存在である。法学部は,その研究水準の高さによって名声を博しており,ドイツの各種大学ランキングにおいて首位の座を与えられることも珍しくない。のみならず,日本の大学や研究者との交流に積極的なスタッフが少なくないという事情もあずかって,常に多数の日本人研究者がここを滞在先に選び,研究に従事している。

    法学部公法講座
野呂 充(のろ・みつる)



広大フォーラム33期1号 目次に戻る