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文学研究科、教育学研究科、工学研究科が大学院講座化



 本学では,総合研究大学を目指した大学院講座化を推し進めており,平成12年度に理学部及び大学院理学研究科が改組再編(重点化)したのに続き,平成13年度から大学院文学研究科,大学院教育学研究科及び大学院工学研究科が大学院講座化しました。各研究科長にその概略を紹介してもらいます。


文学研究科

文学研究科の課題
文学研究科長 頼 祺一


看板を掲げる頼研究科長(右)
と原田学長(左)(平成13年4月2日)
 新しく発足した大学院文学研究科は"人間学の復興"を目標としています。過去・現在の人間の英知に学び、現在から未来への橋渡しをするための新しい研究と教育を推進しようということです。
 そのために、従来の細分化した専攻と研究分野を再編・統合して人文学一専攻とし、五つの教育研究分野と七基幹講座・一協力講座にしました。四年前に改組して人文学科一学科となった学部教育もこの体制で一層充実させます。
 広島文理科大学の文系学科を母体とし成立した文学部は、一九五三年に大学院文学研究科を設置しました。文学研究科は哲学・史学・語学文学の基礎的・理論的研究で学界をリードするとともに、多くの人材を社会に送り出してきました。

 以来半世紀が経ち、世界情勢の変化、国家や社会の制度疲労に対応するために様々な改革が試みられ、教育という最も重要な部分にも試行錯誤が繰り返されています。これで良しということはありません。文学研究科は伝統を踏まえつつも、社会の変化に対応し、新しい時代と制度にふさわしい教育研究を行って国民の負託にこたえ、その成果を世界に発信してゆかねばなりません。
 私たちの研究科は"人間"にかかわる研究と教育をする"場"です。たやすいことではありませんが、歴史や伝統を踏まえて、将来展望を開くような"場"にするべく教職員・院生・学生一丸となり、着実に歩んでゆく覚悟です。



教育学研究科

二十一世紀の教育モデルの探究
教育学研究科長 利島 保


看板を掲げる利島研究科長(右)
と原田学長(左)(平成13年4月2日)
 平成十三年度から教育学研究科は、十六講座の大学院講座化に伴い、昭和二十八年以来博士課程を持つ旧七帝大並びに筑波大学を含めた九つの教育系拠点大学院として、教育・研究上の新たな競争的環境に置かれることになりました。特に、本研究科は、他大学の研究科にない、学校教育から生涯学習までの幅広い領域の教育・研究が可能な、我が国最大の教育系研究科の立場を生かし、「学び」という鍵概念による理論と実践の統合を目指した教育基盤科学の創造を理念として、生涯学習社会を迎えた二十一世紀の教育界において「教育の広島大学」の存在を今まで以上に確固にするための努力をしています。すなわち、初等から高等教育に至る学校教育に関わる教員・教育行政関係・社会教育の領域等での学部・研究科における優秀な人材の養成だけでなく、我が国の教育改革に先立ち、広島大学モデルを提言できるリサーチオフィス活動、国際ネットワークに基づく教育分野での知的国際貢献活動等、研究科として具体的なプロジェクトを、現在走らせており、その成果がまもなく現実のものになろうとしています。



工学研究科

二十一世紀の工学の拠点へ
工学研究科長 佐々木 博司

 平成十三年度から工学研究科は大学院講座化され、従来の八専攻から五専攻体制へと改組しました。また、大学院講座化という用語は一般にはなかなか理解しにくい言葉ですが、旧帝大への予算二五%増し付きの大学院大学化を重点化と呼んでいる関係で、予算増の伴わない大学院大学化を意味します。  一九七六年における博士課程設置から二十五年後の大規模な改組であり、これを機に大学院教育の質的向上、ならびに研究ポテンシャルの一層の向上を目指して努力する予定です。改組の目的、概要、期待される効果について図示します。今年度入学された皆さんも希望に燃えて励んでください。



平成13年4月2日 看板除幕式

佐々木研究科長(左)と原田学長(右)


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