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脳磁図(MEG)


文・写真 橋詰 顕
(Hashizume, Akira)
医学系研究科外科系専攻





 脳磁計とは脳の電気活動に伴う変動磁界を測定する装置です。得られたデータから作成された等磁場線図を一般に脳磁図(MEG)といいます。平成十二年四月から本学の医学部附属病院に全脳型脳磁計が稼働しています。この脳磁計はフィンランド国のニューロマグ社製の最新鋭の脳磁計で、この脳磁計一台だけで複数個の講座を持った脳機能センターが一つできるほどの代物です。チャンネル数は二○四個で、大脳から小脳まで広く脳機能をカバーすることができます。地磁気の一億分の一といった脳の生体磁気(正確には十フェムトテスラレベルのオーダー)を計測することが可能で、脳機能の解明に役立つものと期待されています。機能MRIが脳活動に伴う脳血流変化を捉えているのに対し、脳磁計では脳活動そのものを捉えることができ、かつ時間分解能が数ミリ秒のレベルで脳機能を細かく観察することができます。
 脳磁図の知見は脳磁計が設置され始めた一九九〇年代から急速に増加してきていますが、まだまだ不明な点が多く残されています。。日本生体磁気学会の構成員は臨床医のみならず、生理学者、プログラマー、数学者、心理学者、物理学者、脳磁計設計メーカーなど多彩な顔ぶれで、極めて学際的な研究分野となっています。本学では第三内科、精神科神経科、脳神経外科で脳誘発磁界、磁気的てんかん波については研究中ですが逆問題、解析ツールの作成、心理タスクの作成など、まだまだ手つかずの研究領域があります。
 医学部のある霞キャンパスは東広島キャンパスから遠く離れているものの、この最新鋭の脳磁計を用いて、様々な分野の専門家と一緒に、来るべき「脳の世紀」のパイオニアになれることを夢見ている今日この頃です。
興味を持たれた方は、 akira@mcai.med.hiroshima-u.ac.jp に連絡していただければ幸いです。




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