留学生の眼(83)


(83)

日本での生活


文・ジンダラット スリクラム
(Jindarat, Srikram)
大学院国際協力研究科 博士課程前期1年
(タイ,国家経済社会開発庁職員)




2001年お正月 日本の男の子と一緒に

大学生活

 私にとって広島での生活を一言で言うと "It's amazing" です。今ふりかえってみると、広島大学大学院国際協力研究科(IDEC)で勉強すると決めたことは、正しい選択だったと思います。
 IDECの授業は、 たくさんのレポートを書かなければならないので、とても忙しいです。IDECの講義は日本語と英語で行われています。そのおかげで私は、日本人学生だけでなく世界十数カ国からの留学生と友達になることができました。
 また、IDECの授業の一貫として、教育学部の日本語授業が受けられます。日本語を勉強することは、確かにとても難しいのですが、その一方でとても面白いと思います。日本語には、漢字の他にもひらがなとカタカナの二つの表記があり、また、美化語といった細かな表現や敬語表現などもあります。もし、あなたが日本に滞在するつもりなら、言語を習得することが重要な鍵になると思います。日本語を学習することは、日本人のものの考え方を理解する最もよい方法だと思うからです。

日本で感動したこと

 日本に来て、私はいろいろなことに感動しました。第一に、日本人はとても親切なことです。例えば、私が広島に来た最初の日に、友達と自転車を買いにリサイクルシヨップに行ったのですが、迷子になってしまいました。私たちは家に帰れるかどうかとても不安になりました。ちょうどその時、幸運にも親切な日本人に会ったのです。その人たちは、私たちに帰り道の方角を教えてくれただけでなく、なんと自転車までくれたのです。このことに私たちはとても感動しました。
 他にも、冬にまた迷子になったとき、私は親切な日本人に会いました。その女の人は私のアパートまで送ってくれました。そのときの天候は、とても寒かったのですが、私の心はとても温かかったことを覚えています。
 私が迷子になって助けてくれた親切な人々だけでなく、他の人々も親切です。私は、東広島市立のサンスクエア図書館で本を読むのが好きなのですが、その図書館の人はいつも私に話しかけ、ときには飴や果物をごちそうしてくれます。
 第二に、一生懸命になって一緒に研究し、間違いを少なくするように頑張ってくれる日本人学生にも、とても感動しています。タイが今後、より発展するためには、このような働き方を見習わなければならないと思います。
 第三に、日本のたくさんの美しい景色や文化に感動しています。道路を歩いていると、山には木々が生え、冬にはその上に雪が積もっているのが見えます。この風景をとても美しいと感じます。また、特に京都や奈良など、日本には至るところに神社や寺があります。日本文化に関しては、日本のお風呂として有名な温泉や伝統的な家がとても美しいと思います。それはシンプルですが美しいです。温泉について話すと、もちろん私にとって温泉は初めてでした。裸で他の人と一緒に入ることはとても恥ずかしかったです。でも二回目に温泉に行ったとき、その恥ずかしいという気持ちは変わりました。それは、温かいお湯の中で日本人の母とその娘が仲良くしているのをみて、とても気持ちがよくなったからです。温泉は、母と娘の関係を親密にさせるとてもよい方法だと思いました。

留学生へのアドバイス

 日本での勉強から私が得た最も大切な教訓は、志を持ち、目的に向かって一生懸命に努力をすれば、その目的は必ずかなうということです。もし、海外のどこの国に留学しようかと悩んでいる人がいれば、私は絶対に日本を薦めます。
 最後に、日本で勉強しようという留学生にアドバイスを一言。あなたの心を開いて日本人と接してみてください。日本人はシャイなのでなかなか打ち解けてくれませんが、あなたが積極的に心を開いて接すれば、きっと日本人も同じように心を開いてくれます。もちろん努力の過程では、必ずしも楽しいことばかりではありませんが、忘れることのできない想い出を残してくれます。そしてそれから得るものも多いはずですから。
(原文・英語)





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