ネットワーク社会の用語集(4)
ドメイン名

文・角川 裕次
(Kakugawa, Hirotsugu)
情報通信・メディア委員会



2000年12月中旬に,富山地裁でドメイン名に関する判決が出ました。これは,ある企業が他企業の商標を使ったドメイン名の使用差し止めを命じたものです。今回はこの「ドメイン名」について解説します。

 TVや雑誌などを見ていると、番組や企業のウェブページのURL(ホームページアドレスなどと意味不明な呼ばれかたをされているやつです)を目にすることが最近多くなりました。例えば本学のウェブページのURLは「http://www.hiroshima-u.ac.jp/」です。また、本学の多くの人が「何某@hiroshima-u.ac.jp」という電子メールアドレス持っています。これらには「hiroshima-u.ac.jp」と共通な部分があります。これがドメイン名に当たり、インターネット上で「広島大学」を表す名前となっています。
 ドメイン名(domain name)とは、インターネットに接続されている組織に付けた名前のことです。ドメイン名には、その組織を表す名前を付けることがほとんどです。本学の場合では、hiroshima-u で広島大学(u はuniversity の略)を、ac で学術機関(academic)を、そして jp で日本(Japan)を表しています。このように、国、機関の種類、組織名、というような規則に従ってドメイン名が決められています。米国企業では「何々.com」、米国大学は「何とか.edu」というドメイン名が使われています。
 ドメイン名は誰もが自由勝手に名乗れるわけではなく、登録制度が取られています。日本では、JPNICという機関がドメイン名の申請を受け付け、登録を行って、インターネット上でドメイン名の使用ができるようにしています。本学はすでに十年ほど前に hiroshima-u.ac.jp をドメイン名として登録しています。ドメイン名の登録には、特許申請と同じように、先に申請した方が優先されるという先願主義が取られています。
 インターネットが急速に普及しつつある現在、ドメイン名がウェブページ URLに使われているため、ドメイン名に商標と同じような価値があると多くの人が感じています。このため、先願主義を悪用して、企業名や商標を使ったドメイン名を無関係な人がいち早く取得し、高額で売りつけようとする事件がいくつも起きています。
 昨年十二月の富山地裁の判決も、ドメイン名に商標に近い価値を認たものです。今後もブランド名としてのドメイン名の価値はより高くなることは間違いないでしょう。



広大フォーラム33期1号 目次に戻る