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先端科学総合研究棟 完成

文・遠藤 一太
(Endo, Ichita)
大学院先端物質科学研究科長




 平成十一年十一月以来、東広島キャンパスの北東に建設中であった「先端科学総合研究棟」がこの八月初旬に完成の運びとなりました。
 「この厳しい財政状況のなかで良く建ちましたね」といわれています。ここ十年来、全国の国立大学で組織の改編、新設が数多く行われましたが、それに伴って建物が新設された例は少ないそうです。本学では平成十年四月に先端物質科学研究科の発足を機に、施設整備委員会を中心として学内施設利用に対する基本方針が再検討されました。ここで採用された考え方「既存の組織の枠組みを越えた研究チーム等が弾力的な研究活動を行うために研究スペースを確保する。そのため、新築および増築建物の二○%を共用研究スペースにあてる。」(注1)を全国に先駆けて実現するという積極的提案が評価されて建設計画が認められたのでしょう。
 建物面積は、平成十年度現在の先端物質科学研究科の学生定員数と基幹講座教官数を基準として算定された一万一一八七平方メートルです。その中から、規程に基づく二○%を共用スペースにあて、施設整備委員会が入居希望を全学から公募、審査の結果、次の四部局十二チームが共用研究スペースを五年間使用することになっています。

(注1)広島大学における研究施設の有効活用に関する規程
(平成十一年広島大学規程第十三号)


  研究チーム 研究テーマ
5階 小埜チーム(先) 生物の潜在機能の開発と応用
大竹チーム(先) ミニマムゲノムファクトリーの構築
 ――酸化反応遺伝子ライブラリーと省エネルギー型汎用微生物宿主の構築――
宮川チーム(先) 成人病に有効な新規薬剤の開発
4階 佐久川チーム(総) 森林衰退に関わる大気汚染物質の計測,動態,制御に関する研究
高萩チーム(先) ナノ粒子の合成と機能化技術
 ――ナノ粒子構造体の形成とデバイス特性評価――
長沼チーム(先) クラゲ害防除のための微生物的クラゲ分解に関する研究
3階 岩田チーム(先) 脳型コンピュータのための生態的情報処理の数理的研究と高機能集積システムの開発
越智チーム(文) 情報倫理の構築
2階 藤井チーム(総) ナノ構造化炭素 ――水素系の物質研究と機能探索――
角屋チーム(先) サブピコ秒・テラヘルツ電磁波技術の開発と応用
奥山チーム(工) ナノ粒子の合成と機能化技術
 ――ナノ粒子の高速合成技術の開発ナノ粒子の性状評価――
1階 山中チーム(工) 超高圧を用いる新規機能性材料の開発と特性評価
高荻チーム(先) ナノ粒子の合成と機能化技術
 ――ナノ粒子構造体の形成とデバイス特性評価――
( )内はチームリーダーの所属部局
(先):大学院先端物質科学研究科
(工):大学院工学研究科
(総):総合科学部
(文):大学院文学研究科


 平成十三年度から、文学、教育学、工学の三研究科の大学院講座化という大きな組織変更がありましたが、先端物質科学研究科においても組織強化が実現しました。その結果、量子物質科学専攻(四講座)では物質基礎科学講座に加え、今年度から量子機能電子工学講座が基幹講座となり、また分子生命機能科学専攻(三講座)では生命分子機能科学講座に加え、新たに生命情報機能科学講座が基幹講座化されました。これで協力講座の教官数に比べて基幹講座の教官数が少ないという不自然な形態がほぼ解消されました。新しく基幹講座となった研究室も、同一の建物に入居できるよう増築を申請しているところです。

●大学院先端物質科学研究科
http://www.adsm.hiroshima-u.ac.jp


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